第17話 情報屋の田中

「セイヤ、その娘は白河桂里奈ではない」

「いや、兄貴、俺は桂里奈ちゃんの大ファンなんす。

 どうみても桂里奈ちゃんすよ!」

「違うんだ、セイヤ、ここだけの話しだが、その娘は異世界の少女なんだ」


 異世界の少女? セイヤは困惑した。


「そうなんです。わたし異世界から来たんです」


 白河桂里奈もそう言った。もちろんそんなわけはない。

 そんなわけはないのだが、神崎は「やはりそうか」という顔をした。


「それにセイヤ、昼のワイドショーで白河桂里奈というのは、いま入院していると言っていたぞ」

「入院してるんすか! 失踪したとかって聞いて、心配してたっすけど、

 俺、テレビあんまり見ないから」

「東都大学付属病院に入院しているらしい」


 スライムがまた東都大学という言葉に反応して騒いでいる。


「東都大学といやあ、兄貴のご家族が働いてらっしゃる場所っすね」

「ああ、うちの家族にはあまり関わらない方がいい。

 それより、セイヤ、猫を見かけなかったか?」

「兄貴は猫を探していたっすね。

 猫、猫……猫っすか」


 セイヤは考えてみてくれている。


「そういやあ、情報屋の田中が猫がどうとか言ってたっすね」

「情報屋の田中?」

「そうっす、去年、会社をリストラされて今は情報屋をやってる田中っす」


 情報屋の田中が、去年会社をリストラされたという情報はどうでもいいが、田中というやつが何か知っているかもしれない。

 神崎は情報屋の田中に会ってみようと思った。

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