第5話
転生したら転生してないの俺だけだった
〜レムリア大陸放浪記〜
1-4.大東帝国の思惑(2)
「うーん。色々あるけど、まずは世襲させない事かな?」
ボンは先代の死後赤子として突然顕れるので、実際に即位して親政するまでに十数年のブランクがある。つまりその間は大東のロビー活動やり放題なのだ。
大東の西域侵略は約150年前。その後妾を囲ったり、私生児を作ったりする
「堕落したボン」
が何代か続いた。そして遂に退位して院政を敷き、自分の子を次代のボンに据えようとしたボンが現れた。
「あれどうやったのかな?輪廻の鏡を偽る事は出来ないのに」
輪廻の鏡は、その人の前世が全て判る鏡で、この世界の人々は原則全ての前世の記録があるので、子供が生まれると検世師と言う国家資格を持つ鏡の管理者に、見て貰うのだ。
ボンになる子にはその前世がない。
ヨウコになる子は前世が全てヨウコなのだ。これが印。
「輪廻の鏡は厳密に管理され、検世師の一存で結果は変えられないはずだが…」
「今では禁呪になってるけど、前世を一時的に見えなくする呪法があるらしいわ」
「へえよく知ってるなそんな事。一番知られたらマズい暗部だろう」
「 まあこう言う商売してますとね。色々噂が入ってきますんで」
「よっ!流石ボン猊下の猟犬!」
「犬は失礼だな。きつねだお」
「いやそう言うのいいから、話進めて」
「この事件はインチキがばれてボンの野望は闇に葬られたけど、いっそこの機会に普通の世襲制にして、ボン王朝を作った方が国が強くなるのではないか?と言う議論が密かにされていたらしいのね」
「それはそれで教義の大革命だな」
「そう。それに待ったをかけたのが宗教改革。表向きは女犯の戒律を犯す腐敗したボンへの改革だったんだけど、実は帝国が裏で世襲制にならない様糸を引いていたらしいのね」
伝統が守られた方が、大東の利益になる。という訳だ。
「だからこの百年は品行方正なボンが続いているのか」
「しかも世襲制とか馬鹿な夢をまた見ないよう、帝国はある仕組みを持ち込んだの」
「知らないぞ。なんの事だ?」
さらにヨウコの頬に赤みがさしてきた。
「帝国は世襲制だからさ。いつ病や事故で皇統が絶えるかわかんないから、後継ぎ候補は確実に沢山欲しいわけでしょ?おかげで皇子同士で跡継ぎ争いが起きたりするけど、とにかく皇帝は美しい妾大勢囲ってせっせと子供生産するわけ」
「そら羨ましいな」
「馬鹿。でそう言う妾集めた後宮ってとこには女しか入れない」
「そうだな。浮気されたら困るもんな」
「でも力仕事とかあるから男でない男がいる」
「ああ宦官って言う奴か。あれキモいな、チョッキンってな。あはは…」
ヨウコの目が笑ってない。
「え?」
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