第60.5話 R15的なお風呂で妹話ですが、なにか?
「えへへ……満足した」
二人でお風呂に入りながら、体を暖める。
行為が終わった後のしどー君を背もたれにしながらの
「さておき、燦は自分に自信が無さすぎる。
これは燦には言うなと厳命されている考察だから、黙っていて欲しい。
もし僕が好意を伝えたら、逆に彼女は今の関係を捨てて自虐的に進む可能性が微小ながらある」
「どういうこと?」
「つまり、自分なんかを好いてくれるなんてホントは大したことないんじゃないかと。
蛙化現象というらしい、王子様が一転醜い蛙のように毛嫌いしてしまう例になぞっているらしい」
「なにそれ、逆よ、逆!
しどー君は私が惚れた男よ、大したことあるに決まってるじゃない!」
私が声を荒くすると、ビリビリとお風呂中に響き渡り、ハウリングする。
「ありがとう」
噛み締めるような穏やかな礼がお風呂に響き、私が嬉しくなってしまう。
「少しづつ、自己肯定感を上げるために誉めるし、やれることを自覚させていくつもりだ」
「つまりイイ男の育て方と一緒な訳よねー。
しどー君だって、私が誉めて伸ばして自信がついたでしょ?
男としても、出来ることも増えたし能動的になったでしょ?」
「確かに」
私が育てた男だ。
「つまり燦ちゃんをイイ女にしどー君好みに染め上げる訳ね!
前に『都合の』とか付けないで上げて欲しいけど」
「付けるわけ無いだろ……」
「しってるー。
マジメガネだもんね?」
さておき、
「それで先ずは妹に男性恐怖症の気を減らそうとアドバイスしたわけね?
燦ちゃん、痴漢に会ってから男性恐怖症だもんね……」
しどー君とパパ以外の男性が怖いと聞いている。
「人間社会、半分は男だし、流石に先ずはここからだろう」
「同意ね。
怖い怖いと遠ざけていても仕方ないことだしね。
クラスの男子と遊びに行くぐらいはした方がイイわ。
流石に私みたいに援助交際までは行きすぎだけど」
まぁ、それのお陰で私は考え方が広い訳だけど。
何事も何を得たかであると、最近は考えられるようになってきている。
「そういえば、丁度、燦ちゃんを好きだって男性に会ったわよ?」
「……どこでだ?」
不機嫌にマジメガネが聞いてくる。
風呂だからメガネはしてないが。
「京都駅、しどー君と妹が会話している間に妹に間違われてナンパされたわ、きゃ♡」
後ろから強く抱きつかれ、そして首筋に軽くキスでマーキングしてくれる。
「初音は僕のだ……」
「大丈夫よ、私はしどー君のだし」
振り返りながら、抱きつく。
「がっしりとしてきたよね、しどー君。
前まではヒョロい感じだったのに」
「ご飯は肉が多いし、夜運動してるからだろうな……」
「つまり、私が育てた!」
確かにと苦笑で返ってくる。
「さておき、燦ちゃんが好きだという男が二人も居た訳よ。
物好きなことに兄弟で、一人は小学生、一人は同学年らしいわね」
「……悪いことではないだろうけど、小学生?」
「燦ちゃんが生徒会活動だか、ボランティア活動だかで行く小学校の生徒だってさ。
燦ちゃん観てたらほっとけないとか言ってるから庇護感かなとも思ったけど、私の見立てだと小さいながらちゃんと恋してる」
「ほっとけないか……それは僕も同意だが」
「それに関しては私もよ」
何というか、共通見解な気がする。
「その子なら燦ちゃん任せちゃうのは有りかなと、洞察力も鋭いし。
……不機嫌さん?」
「そんなことない」
ムスーっとしているしどー君を観てニヤニヤしてしまう。
「他の男、誉めるのがいやなんだー?
嫉妬メガネー」
「……むぅ」
苛めすぎた気がする。
謝罪の意味も兼ねておでこに軽くキスをする。
「もう一人は、そのお兄さん。
容姿だけは整ってたけど、何というか間抜けっぽい。
私を妹と間違えた。
サッカー出来るらしいけど」
「どう見ても違うだろ……。
胸の張りとか、顔の感じとか、眼元とか」
「胸は両方触ったことある、しどー君にしか判らないわよ。
贅沢者め」
さておき、
「まぁ、妹が付き合う付き合わないというよりは、いい経験値になって欲しいとは思うけどね。
あれなら無害だろうし。
……不機嫌さん?」
再びしどー君がムスッとした顔になったのを問いただす。
「うーん、不機嫌になる理由はない筈なんだけどなぁ……。
何というか、自分の手の届く範囲でなおかつ、自分が助けている燦を取られるのが面白く無く感じている」
「ふーん」
「……ペットの犬が他の人になついた時の複雑な心境に似ているかもしれないが」
珍しくハッキリしないのでニヤニヤと笑ってやる。
独占欲の強いことは知っているが、それが妹相手にも出てきているのだろう。
私としては悪い傾向ではないと思っている。
とはいえ、
「私は妹のことに関しては、しどー君がちゃんと悩んだ結果なら受け入れるからね、先に言っとくけど」
私に遠慮するなと断言しておくと、しどー君は困ったように笑みをこぼしてくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます