第47.5話 R15的メイドプレイですが、何か?
しどー君が一番好きなのは制服である。
何の話かって?
そりゃ当然、コスプレ、つまりコスチュームプレイの話である。
着飾るだけではない。
元来の意味でのコスプレだ。
「とはいえ、幅を広げてみたい訳よね」
っと、妹が持ってきた私の服を広げていく。
色々ある。
黒バニー、和メイド、チア、白バニー、セーラー服、ブレザー……何でこんなにあるかって?
「コス好きおじさんいたからなぁ……」
私が援助交際した人たちは結構、際物も多い。
例えば、足で首を絞めて欲しいとかいうリフレなことを要望する人もいたし、自分が抜くのを観ているだけで良いという人もいた。世の中、広い。
そんな中で、コスプレをさせるだけのヌキ無しのオジサンがおり、結構なコスを貰ったのだ。写真の撮影すら要らないとかいう、ある意味で極まっていた初老の人だ。
「メイドなぁ……」
手に取るのは洋風メイド。
フリルが付いている最近流行りのメイドカフェ風で、胸元が空いており、ミニスカが煽情的だ。
「しどー君、ボンボン扱いするの嫌いなんだもんなぁ。
多分、素直すぎて色々あったんだと思うんだけど」
だから無いなと一旦置いたわけだが、何故か未練がましく、もう一度手に取っている。
見つめる。
「うん、私、何でも似合うわよね」
そして、自分の部屋にある大きな鏡には、胸元まである茶髪のメイドが居た。
しどー君を虐めたくなったのだ。
フリル付きカチューシャもしており、中々に様になっている。
クルリと回って、スカートの端を両手で摘まみ、礼をし、ニコリ。
やはり、私は美少女だ。
「ただいま」
学校の後、寄り道があったしどー君が帰ってきた。
今日は妹と浮気デートと言う名の本探しをしていた筈だ。
妹と浮気してどうだった? っと、言いかけ止める。
「おかえりなさいませ、ご主人様」
なるべく静かに出、靴を脱いでいるしどー君の後ろからそう声をかけてやった。
「……初音?」
「はい、初音ですよ。
貴方のメイドの」
そして頭を下げて、微笑みを向けてやる。
振り向いたしどー君の眼が驚きで見開いて、ワナワナと震えている。
「お気に召しませんか?」
「……すうぅ」
言葉の代わりに深呼吸という珍しい反応で返ってきた。
そして、震える手で私の頬に手を添える。
「……うん、初音だ」
どういうことだろうか。
反応が変だ。
確かめるように、強く私の顔を触ってくる。
少し痛いほどで、エッチする時に気遣ってくれるしどー君とは別人のようだ。
「しどー君?
大丈夫?」
メイドの仮面を剥がし、問う。
明らかに変だ。
しどー君の顔が真っ青になっている。
「……大丈夫だ。
うん」
珍しいしどー君の嘘だ。
私に対しては初めてじゃなかろうか。
いや、本人の意思は大丈夫だと心底思っているのだが、心の奥底から抑えきれていない感情が滲みだしている感じだ。
つまり、本人にとっては嘘では無いのだ。
「しどー君、メイドと何かあったの?」
「……あった」
リビングで鎮静作用のあるハーブティーを出しながら、事情をゆっくり聴いていく。
つまりの所、若い時に家政婦(メイド)の人が居たらしい。
その人に懐いていたしどー君だったが、結婚してやめてしまったらしい。
それで、
「私がメイド服着たから、それと同じことが起こるんじゃないかと。
その人はしどー君をおぼっちゃん扱いをしていて、それを嫌う理由の一つだとも」
「そうだ。
まあ、後は金持ち金持ちと揶揄してくるのが、自分が認められてない感もあって嫌なんだが」
下らない。
ため息一つ、呆れてやる。
「私は居なくならないわよ。
しどー君が望んでくれる限りね?」
いつも必要だと欲してくれていることのお返しと、そう言ってあげる。
そして、しどー君の隣に座り、彼の手を握り、私の熱を伝えてやる。
「あったかいでしょ、私。
私はここに居るわよ」
「……あぁ」
嬉しそうに、でも弱弱しく微笑んでくれるので、庇護欲を掻き立てられる。
いつもと違う、しどー君の弱気だ。
新たな一面に触れることが出来て、嬉しくなっている自分が居る。
「しどー君、しよ?」
晩御飯はまだだ。
けれども、私がしてあげたくなった。
過去の女如きに、私のしどー君がこんな面をさせられるのも嫌だというのもある。
「ご飯が……「しどー君、つらそうだもん。そんなんじゃご飯もおいしくないわよ」」
そして、返答を待たずにキスで塞いでやる。
しどー君の暖かい口内を舌で這わせるが、硬い。
ムッとして、舌を舌で叩き、絡み合わせる。
二人で育んだキスだ。
しどー君もようやくそれで気分が落ち着いてくれて、私を受け入れてくれる。
「そのメイド苦手は私が治してあげるわよ、おぼっちゃま」
チュッ。
そう決意を現すように彼のおでこにキスをする。
次は頬だ。
そして首元にし、少し唇で噛んでやる。
ブルっとしどー君が抵抗を示すが、舌を首筋に這わせると抵抗がなくなる。
「私のおぼっちゃま♡」
そして、自慢の胸元に引き寄せ、グリグリと押し付ける。
「きゃっ」
しどー君が私を床に押し倒してきた。
大体は私がそのまま引き倒すのだが、今日はしどー君が私を抑えつけてくれる。
眼が血走っており、野性味が出てきて、ちょっと怖く感じる。
「ちょっと、手荒くするぞ?」
「へ?」
返事を返したときには、メイド服の胸元が両手で引きちぎられていた。
ブルンと胸元のマスクメロンが下着の網で包まれたまま、露出される。
「……ケダモノなおぼちゃま。
マジメガネなしどー君はこれ以上出来ないよね?」
そこまでやって手が止まったので挑発したら大変なことになった。
「ケダモノ」
行為が終わり、一緒に湯船に浸かりながら、そう言ってやる。
しどー君は私の背もたれになっている。
「申し訳ない」
「最初だって痛いほどに胸もむし、崩れたらどうすんのよ!」
「申し訳ない……」
少しは反省させておかないと癖になったら困る。
「でも、克服できたかな?
おぼっちゃま」
「おぼっちゃまはヤメロ……」
と、しどー君は真面目な顔をして、私の頭をムンズと掴んで振り向かせた。
「初音にとって僕はおぼっちゃまじゃないんだから。
……まぁ、たまにはありかもしれないけどな」
「……ふふ、それでいいわよ。
キスするわね?」
ちゅっ、っと唇を触れ合わせるだけの軽いキスだ。
「今日はこれで終わり」
そして彼の胸元に背中を押し付け、
「私はしどー君のモノよ」
そう言って、顔を湯船に沈めた。
鏡に映った顔がリンゴのように赤くなっていたのを見られたくなかったからだ。
これ以上、今日やると羽目を外しかねない。
「ありがとう、初音」
その言葉ははっきり聞こえ、先ほどの行為時以上に私の心を高鳴らせてくれた。
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