第8話 中間テスト前ですが、なにか?

 彼がコンタクトレンズにしてから、彼の評判は変わった。


「マジメガネがあそこまで変わるとは……!」「確かにイケメンとかではないけど、有りと言えば有りよね」「風紀委員x委員長とかスコブル」「それはマテ」


 と、良い評判だ。

 私のおかげだと思うと鼻が高い。

 最近、整髪料の使い方も覚えこませた。

 ただ、イケメンじゃないという意見は私が否定されたみたいで悔しいので、何ともだが。

 関係はクラス内では秘密なので言えないわけでして、

 

「まぁ、有りじゃないの?」

 

 程度のコメントに抑えておいた。

 さておき、私の仕事は以下だ。

 朝起きる。

 朝御飯作る。

 起こす。

 弁当は作らない。同じ弁当なんてバレるからだ。

 学校へ行く。

 友達と寄り道。

 帰ってくる。

 簡単に掃除する。

 週二は洗濯。

 晩御飯作る。

 しどー君を出迎える。

 セクハラする。

 こんな毎日の繰り返しだ。

 土日は半日ほど自由にさせてもらってるので、特に問題ない。

 これでお金がもらえているのでありがたやーである。

 最近は、援助交際もしてない。


「それはそれで寂しいんだけどなー」


 男の情けない姿が見るのが好きな私はエス気がたまに沸いてくるとしどー君の寝込みを襲う。

 この前は口でしてやった。

 何をとは言わないが、私としては満足でつやつやになる。

 行き絶え絶えに我慢する姿など、大好物だ。

 精神的充足も重要なのだ。


「とはいえ、彼、ほんとーに自分からはして欲しいって言わないのよね」


 ちょっと、自分の魅力に自信が無くなってきている。

 く、悔しくなんかないんだからね、とツンデレ口調になれたら可愛いと思うんだけど……

 私はストレートに悔しいと思う。

 ビッチとしての名折れである。


「とはいえ、初めては卒業してないのよね」


 最近、校外の友達と話題にしている。

 私は愛想笑いを浮かべ、Bまでの知識を披露してはいるモノの。


「何とも」


 まぁ、それもそれでいいかなとは最近思うようになってきている。

 丸くなったものだ。

 ビッチ返上も近いかもしれない。

 しどー君に感化されている気もする。


「さておき、仕上げしちゃいますかー」


 今日の晩御飯は、カレーだ。

 中間テストも近いとのことで作り置きが出来るモノにした。

 私もそろそろ勉強しないとマズいのだ。


「ただいまー」

「おかえりー。

 私にする?

 私にする?

 私にする?」


 最近のマイブームが新妻気取って、タジタジにすることだ。

 エプロン制服で破壊力は抜群だ。


「十分だけ休憩するから、ご飯をお願い」

「むー、つれない!」

「はいはい」


 っとはいえ、それはつい先週まで。

 今週は直ぐ部屋に引っ込んでしまってツマラナイ。

 中間試験で打倒委員長があると思うから、まぁ、仕方ないと思う。


「私もやらないとなー」


 カレーを温め終わり、しどー君を呼び、お互いに食べ始める。


「しどー君、しどー君」

「何?」


 ちょっとやつれた目つきになっていて優しく無い目になってる。

 ワイルドさが増しているので、これはこれで有りだと思う。


「可愛い同居人が話題振ってるんだから、そんなにカリカリしないの。

 精神も落ち着けないと、テストの点数も下がっちゃうぞー?」

「……確かに、ありがとう。

 初音さん」


 っと、素直なのはしどー君のいいところだ。

 さておき、本題に入る。


「テストの山おしえて」


 ダメ元だ。

 彼には彼の勉強がある。

 補欠入学の私の面倒を見る義理などないのだ。


「判った」

「やっぱ、ダメだよねー……ぇ?」

「いいって言ったんだが……?」


 お互いに顔を見合わせることにする。


「ぇっと、代わりに息を抜いてほしいとか?」

「ちがうわあああああ」


 久しぶりに顔真っ赤にして叫んでくれた気がする。

 少し嬉しい。


「自分の復習も兼ねてだけどね。

 最近は真面目に授業聞いてるようだし」

「なにー、私の事、授業中観てんのー?

 そんなに気になるのー?」

「観ているし、気になる」


 と、ストレートに言われる目線がまっすぐでちょっとドキッとした。


「経過観察中だからね」 

「あっそ」


 追加を言われ、凄くなんかムカついた。

 さておき、勉強を観てくれることになったわけだ。

 結論的には足手まといにしかならなかった。

 でも、彼自身のためになると、そのために言ってくれるので有難かった。

 彼の性格だ、嘘ではないだろう。


 とはいえ、結構スパルタだった。


「いつも私がタジタジにさせてるから、その意趣返し?」

「真面目にやるときは真面目にやるだけだ。

 そんなことはない」


 そう真剣なまなざしで言われたので、それ以外の何物でもなかったのだろうが。

 とりあえず、朝、寝込みにお礼とストレス解消を思いっきりしてやった。

 寝ているのに息が荒くなるしどー君が可愛いかった。

 起きた時に白いのでベタベタしたのを見て、俺最低だとかやってくれっちゃったので、更にもう一回した。

 

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