高校デビューに失敗していじめに遭い、メンヘラになって精神科に行った話
いくいえむ
プロローグ
それは体育の時間だった。
「2人組を作って」
何も知らない平和な脳みその体育教師(中年男性)は、私のような所謂『ぼっち』を一番困らせる言葉をいとも簡単に言ってしまう。
私のクラスの女子の人数は16人。今日の欠席者は2人なので、体育館にいるのは14人。偶数だ。こういう時には、私とでも組んでくれそうな『スクールカーストの下らへんにいる奇数グループの子』の元へ向かう。
「一緒にやってもいい?」
私は比較的明るい口調を意識して訊いてみた。しかし、3人組の地味な見た目の彼女達の合計6つの瞳は、私の方を一瞬向いて、すぐ別の方向に向いてしまった。私の精一杯の虚勢と勇気は、報われることなく宙に浮く。こんなことってあるんだなぁ。偶数人で2人組作って余るって、ある意味凄い。
私は諦めて、体育教師の元へ行く。
「体調が悪いので、保健室に行っても良いですか?」
自分のちっぽけな名誉を守る嘘が日に日に上手くなる。体育館の重たい引き戸をガラリと開けると、午前11時のぬるい空気が私をぬるりと撫でつけた。
私は、どこで間違えたんだろう。
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