各人の高校までの行いや能力で国が余命を決めるという制度が存在する世界。「私」が語る世界は、一文読むごとに心臓を掴まれるような痛みが胸を貫きます。こんな世の中ですから、自分と向き合いすぎて、自分の価値が分からなくなってしまった人も多いのではないでしょうか。「私」が感じている諦念や、「私」と少年の問答は、そんな人こそ引き込まれるのではないかと思います。「私」の残りの人生を見せきらない、終わり方も見事でした。
たぶん、今人生がうまくいっていない人が読んだら、心が深く深くえぐられる作品です。自分は何のために生まれてきたんだろう?自分の存在価値って何だろう?そんな風に、立ち止まってしまっている人へ。この物語を読んだら、まだいくらでも人生はリセットできるって気づくはずです。