「卑しいホタル」

 目が狂いそうな光を浴びて、多くの人が踊り狂っていた。酒とともに踊り狂っている人。写真を取り合う人々。騒音まみれの空間でも様々な人達がいた。


 やかましさ全開の環境で一人の女性に目が行った。


 物憂げに隅っこの方で一人、酒を呑んでいる女性だ。


 寂しげで他の有象無象とは一線引いていた。


 彼女に心を惹かれた僕は勇気を振り絞って、駆け寄った。


「お姉さん。今、一人」

すると彼女がこちらを向いて僕の横を指差した。


 首を向けると僕より遥かに大きな男が眉間に皺を寄せていた。


 結局、僕も彼らと変わらない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る