「キャンパスで咲く花」

真っ白な部屋の中、等間隔でいくつも作品が飾られていた。キャンバスの中で咲いた色取り取りの花々。


 鼻を動かせば、香りが漂ってくるような気がした。


 そこにはないはずの花に意識が取り込まれていく。開花して、輝きを放ち、静かに枯れて散っていく。目に見えないはずのストーリーが頭の中を駆け巡っていく。


 風が吹けば今にも揺れそうな作り物の花。見つめ続けていると作品と奇妙な一体感を覚えた。


 すると部屋のスピーカーから閉園の合図の音が鳴った。


 閉園の鐘が僕を現実に帰した。

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