「遠く離れたスーパーマーケット」
やっちまった。脳裏に一つのワードが浮かんだ。
酔っ払って終電まで寝過ごしてしまったのだ。なんということだ。
体内に残留するアルコールを引きずりながら、改札を出た。見知らぬ駅。見知らぬ町。その全てがそこにはあった。
真夜中と言うこともあってかあたりには誰も人がいない。
唯一、遠くから聞こえる車の走る音が人の存在を示していた。
朝までネットカフェで時間を潰そうと考えていたが、ネカフェは駅周辺はおろかその町一体に存在しなかった。始発までなるべく最寄りの駅まで歩こうと考えて、足を進めた。
どこまでも続く暗黒の闇。徐々に酔いが治ってきたが、疲れが蓄積してきた。
さっきまで眠っていたはずなのに眠気が出てきた。
しばらく進むと視界に光が入った。目を向けると見知らぬスーパーマーケットが目に入った。
おそらく地域密着型だろう。僕は店内に入ると客はおらず、店員が数名いた。未知との遭遇に僕は不思議とワクワクしていた。
夜中ということもあってか、店内は静まり返っていた。店員同士の話し声もない。本当に静寂に包まれていた。
少し不気味さを感じたが睡魔を誤魔化すためにミント味のガムを買った。
店を出た瞬間、急激な睡魔に襲われて僕はその場に倒れた。
どれくらい眠ったのだろう。僕はゆっくりと目を開けた。
辺りは夜明けが近いのか、空が青みがかっていた。ゆっくりと起き上がり、不意に後ろを振り向いた時、僕は目を疑った。
スーパーマーケットがなかったのだ。存在した痕跡すらなく、辺りは更地だった。
動揺しているとポケットに何かの感触があった。ポケットにはスーパーマーケットで買ったミント味のガムが入っていた。
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