【ep5】激闘2

話し合いの当日、僕は緊張して吐きそうだった。

弁護士からは大丈夫と寄り添ってもらい、遂に旦那と対面の時を迎えた。


旦那はこれまで見たことのないような鬼の形相で、今にも僕に掴みかかりそうな勢いだった。

ただ、僕は旦那に申し訳ない気持ちはあったものの、知らなかったことも事実なので

複雑な心境だったのが本音だ。


話し合いの火ぶたが切って落とされた。

向こうの言い分は400万を慰謝料として払うか、裁判で争うか。

僕たちは今までの佳代子との馴れ初めやラインのやり取りなど出せるものは全て出し、知らなかったことを心から訴えかけた。


ただ、知らなかった事実を証拠として提出はできておらず、そこに対して旦那と弁護士が畳みかけて話を進めてきた。

僕と弁護士はこれ以上何も言えなくなってしまった。


知らなかったという事実を証拠として提出するには、佳代子からの結婚してないという文言や言質を

提出する必要があるが、今までのラインのやり取りでそういう話はしたことがない。

合コンで知り合った女性に既婚者かどうかなんか聞くわけがない。付き合ってから何も感づくような事はなく、むしろ付き合っているならなおさら既婚者かどうか聞くはずがない。

そんな用心深い人はいるのか?


僕たちは負けた。 ただ、本当に知らなかったことは少しでも伝わったのか

和解金として200万で話の折り合いがついた。ただし条件は一括払いだ。


僕は弁護士費用を含めて約250万今回でかかってしまったが、僕の貯金は150万程度だ。

支払いまでの猶予は1か月、それまでに準備しなければいけない。


その日、僕は疲労感と絶望感、そして佳代子を失った喪失感から何も考えられなくなってしまった。

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