【ep3】落胆

知らない番号からの電話が鳴った。

営業か?と思いながら軽い気持ちで電話を取った。

「もしもし...○○さんの番号で間違い無いでしょうか?私、弁護士の山下でございます」  


何と弁護士からの着信だった。


「佳代子さんとはどのような関係でしょうか? 旦那さんからのご依頼でお電話させて頂きました」


僕の頭の中は真っ白になった。僕は何をいってるのか意味がわからず、向こうが一方的に話すのをただ聞いているだけだった。


何と佳代子は既婚者。旦那さんが不倫を怪しんで探偵を雇い僕との関係が旦那さんの耳に届き、弁護士を雇ったようだ。

僕の連絡先などは全て、佳代子が旦那から問い詰められ白状したらしい。


合コンで出会い、指輪もしてなく、家に行った時も旦那の影が全く無かったのに。二人であんなに幸せを感じていたのに。

二人の今までの時間は何だったんだろうか。

僕は絶望の淵に立たされてしまった。


弁護士を通じて旦那側からは訴訟を検討していることを聞かされた。僕は佳代子が既婚者だということを知らないと何度も何度も伝えたが何も聞く耳を持ってくれない。 ただ、これからどうなるかは改めてお伝えするの一点張り。 


佳代子との数ヶ月は何だったんだろうか。

僕は悲しみを通り越して何も考えることができなかった。


仕事も手につかない、ご飯も喉を通らない。ただ何が起こったのか整理するのにかなりの時間が必要だった。


数日経ち、ようやく足を動かす勇気ができた。まず僕は今の状況を一刻も早く打破できるようにしなくてはいけない。

佳代子との関係も事実だが、僕が何も知らなかったのも事実だ。 


僕も弁護士を雇う決意をした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る