第36話 漂流



悲しみに


苦しみに


攫われそうな心を


何とか引き止めようと


言葉を紡いで見るのだけれど


上手くいった試しがない



自分でさえも救えない 


こんな夜に


君の声が聞けたなら



雨が屋根を打つ音は


部屋の静寂を強めて


悲しい思い出を連れて来る




あの時ああしていれば


こうしていれば


無意味な思考に自嘲する



さぁ眠れぬ夜よ


僕を連れてどこへ行く



果てしない波に攫われ


癒えない傷を掘り返し


割れた岩の鋭利さに


気づいたとしても もう遅い


僕は荒れた海に漂っている




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