第14話 sludge


痛い、苦しい、助けてと、

嘆いて、もがいて、縋っても

他人に救えないイタミは

言葉にしてやっと手放せる


でも吐く場所がない


流れる血の黒さに、醜さに

目を覆いたくなる


毒を抜かねばやがて内から腐ると知っていて

内に秘めるは愚行だろう


内臓を蝕み、心を蝕み、体を蝕む、 

その憎しみは増幅し続け

やがては殻を破って撒き散らされる


己の心を踏みにじり 

沼へと足を踏み入れるなら

さっさと吐いてしまえ


纏わりつく闇を引き剥がして

川に流して消えてしまえ


孤独が怖いのに

寄り添われるとなお怖い


傷つけてしまうなら

己を引き裂く方がいい


そう思って引き裂いても

内から生まれる毒は消えない


嗚呼,どうすればこの苦しみは消える


どうすれば 


僕は


救われる

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る