『小さなお話し』 その198

やましん(テンパー)

『宇宙大相撲』


アナウンサー


『みなさん、こんにちは。こちらは、火星競技場です。今日は、『宇宙大相撲』の二日目。解説は、もと、太陽系大関、『安堵炉目田』さんです。よろしくお願いいたします。』



安堵炉目田


『ども。』



アナウンサー


『安堵炉目田さんは、金星入植地のご出身です。今日の、注目の取り組みは、ずばり、どれでしょうか。』



安堵炉目田


『まあ、やはり、あれですな。つまり、[明輝(めいてる)]と、[米斗弁(べいとべん)]ですな。ふたりとも、今場所の、キーマンですから。勝った方が、横綱[太陽風(たいようふう)]に、あすまず、おそらくは、当たるわけですが、場合によっては、五年間、無敗の横綱に、黒星を付けられる可能性がある、そういう、わけですからして、やはり、注目されますな。』



アナウンサー


『はい。さて、幕の内、最初の取り組みは、金星出身の、[流星山]と、フォボス出身[暗闇]です。にらみ合いから、たちました。[暗闇]、早い。ああ、押し出し。』



行司


『くらやみ〰️〰️〰️〰️。』



アナウンサー


『暗闇、スピーディーな相撲で、順調な、二連勝。まけた、流星山は、二敗です。流星山は、改造していない、基礎人間ですが、なかなか、厳しい。』   



安堵炉目田


『ですな。このところ、一段と、効果が、なんという、か、顕著、に、なりました。やはり、基礎人間と、改造人間は、別グループに、すべきだというのを、真剣にかんがえるべきですな。』


アナウンサー


『そうですね。このままでは、この、宇宙大相撲も、公平感が、ますます、問題になりそうですね。』



     ・・・・・・・・・・



アナウンサー


『さあ、いよいよ、本日の目玉の一番、地球出身の、明輝と、火星出身の、米斗弁です。


 地球と火星、両星の対戦は、いわば、因縁の対戦であります。


 地球は、現在も、宇宙ごきの、支配下にありますが、我が火星は、独立戦争後、地球人類の移住地として、発展してきました。宇宙大相撲も、火星側の発案で始まりました。


 さあ、会場が、盛り上がってきました。


 大歓声が、飛び散って、おります。


 観客席も、ヒート状態になってきました。


 両者、しかし、淡々と、仕切りを行っていますが、ああ、しかし、急激に、殺気だってきました。


 これは、安堵炉目田さん、時間前に、立つかもしれないですね。あたあ・・・・・ものすごいにらみ合いだあ。』



安堵炉目田


『そうですな。行くでしょう。これは。』



 アナウンサー


『金星の入植地は、先の選挙で、人類派が勝ちましたが、盛り上がってるでしょうか。もっとも、明輝は、人類であります。宇宙ごきスポーツ省の、支援で、成長した経歴の持ち主。現在、両者とも、関脇です。


 どちらが、さきに、大関になるかも、注目ですが。さあ、きました。すごい、迫力ですが、あっ、たちました。たちました。殴りあいから、四つに組みました。巨体どおしの、対決だあ。力が入る。動かない。両者、まったく、動かない。互角の力です。明輝投げ、と、と、と、いやあ、動かない。米斗弁も、重い。米斗弁、前に出る、が、だめ、動かないです。大相撲になりました。どうなる?会場は、大歓声で、自分の声が聞こえないくらいに、なって、きております❗』




……………………………………………



アナウンサー


『つぎは、宇宙大相撲です。昨日から、組み合ったまま、まだ、勝負がつかない、関脇どおしの、明輝と、米斗弁の対戦は、あとの、取り組みが進まず、本日の場所に間に合わないことから、午前0時をもって、再戦、取り直しと、なりました。史上初のことです。人類のスポーツ選手が、ごきの遺伝子を取り込み改造をはじめて以来、体力の大幅な増強が促進された結果と考えられます。これについて、地球の、宇宙ごき、スポーツ省のスポークスマンは、次のような、見解を出しました。それに、よりますと、廃止されていた、取り直しの基準を、再開させたら良いとのことで…………………また、行司が、倒れ、交代しました。気分が悪くなる観客も、かなり、あり、………………関係団体以外の、識者からも、異論が噴出しており、また、お手洗いの………………… 』




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


        おしまい

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『小さなお話し』 その198 やましん(テンパー) @yamashin-2

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