第17話
結局あの後、5秒くらいグルグルされた後に、ベッドへ下ろされる。俺はジェットコースターとかは結構イけるクチだが、縦横無尽にグルグルされたため、三半規管がやべぇ。吐きそう。
「ご主人、大丈夫なのじゃ?」
シトラスが心配そうに顔をペシペシと叩きながら聞いてくる。お願い、ちょっとそれやめて。
「……そ、その。智様、申し訳ありませんでした。少しばかり加減が……」
「……あぁ……うん、とりあえず俺が悪かった」
「い、いえ!くだらない嫉妬なんかで癇癪を起こした私が悪いのです。なんなりと罰を……その、夜伽でも受けますから……」
「ブーー!!!」
な、何を言い出すんだ急に!!いくらなんでもそう簡単にそれを言うのはダメでしょ!
「智様に誓ったあの日から、全て覚悟の上です。どうぞ……私の体を好きにーーーー」
「待て待て!そんなことしなくていいから!!」
とはいえこれは何らかの罰を与えないと延々と無限ループ状態になってしまうだろう。端的に言うと、よくゲームで『はい』を選ぶまで先に進まないアレだ。
「……じゃあ今日の夜一緒に寝てもらおうか」
「なぬ!?」
「や、やはり体ですね……分かりました。不肖エリー、初めてですが精一杯、智様に尽くさせてーーーーー」
「だからこの勘違いもういい!」
エリーも顔を赤らめさせてモジモジしないの!可愛いでしょうが!
後シトラスも顔を赤くさせるんじゃありません。
「さっきエリー言ってただろうが。抱きしめられて一緒に寝たいって」
「い、言いました」
「だろ?」
何ともまぁ可愛らしい嫉妬で。あとなんかさっきからエリー見てるとドキドキするの何?俺の意思に反してなんかなってる気がするけど。
「………む、何やら我以外の繋がりをご主人から感じるのじゃ」
「………シトラス?」
三半規管も何とか収まり、よっこいせとベッドの端へ座ると、昨日のように耳を俺の胸へ押し付ける。
「それは多分、私……だと思います」
「エリー?」
「勇者と勇者メイドの関係性は身体強化の倍加と言いましたが、それは私と智様が精神的に何かで繋がっているのです」
「……どゆこと?」
「あれじゃ。我とご主人が主従関係で繋がっているのに対して、エリーとご主人は更に深く繋がっているのじゃ」
え、ごめん。全然分からない。もっと分かりやすく教えてクレメンス。
「簡単に言えば、私と智様は精神的に繋がっているので心で思っていることが分かります」
「へー…………うん!?」
「ついでに言えば感情面の共有もあります。だからーーーーその、はい」
「え、待って待って待って。なんでそこで濁したの?あとなんか俺も急に恥ずかしくなってきたんだけど」
エリーを見ていると無意識に顔が赤くなる。心臓もなんかドキドキしてるしーーーってまさか!?
「はい、そのまさかですーーーー智様」
ドクン!
昨日よりも鮮明に分かるエリーとの繋がり。エリーの中にある勇者因子と俺が女神に与えられた勇者因子の共鳴が起こる。
感情が抑えられなくなり、エリーに対して愛おしい気持ちが急激に湧いてきてしまう。もうこれは、俺の理性では完全に抑えられない。
「智様ーーーーー」
エリーの顔が目と鼻の先に。端で見ているシトラスは「のじゃ……のじゃ……」と言いながら手で目を隠している。指の隙間から紅い目が見えるが。
「メイドとしても………男性としても、お慕いしております」
「………っっっっっ!!!!」
エリーに、顔を抑えられ、遂に俺のファーストキスが奪われた。
それと同時に、エリーから何かがーーーーいや、元々勇者メイドとしてエリーの体にあったものが俺の体に急激に流れ込んでくる。
ーーーーまずい、意識が遠くなってきた……。
俺は、エリーにキスをそれながら勇者因子の負荷に耐えきれなくなり意識を失ってしまった。
「………お主、ご主人に何をしたのじゃ」
シトラスの視線がエリーへと突き刺さる。その瞳には、警戒心とーーー少しばかりの嫉妬。
気を失っている智の頭を膝に乗せ、愛おしそうに髪を撫でながらエリーは口を開いた。
「………勇者メイドは、女神アテナに愛されし勇者に仕える存在。勇者がアテナに埋め込まれた勇者因子と生まれながらに持っていた勇者メイドが出会い、共鳴することで、身体能力を倍加。その実態は、勇者メイドが持っている対となる勇者因子が勇者の体に注がれます。それは、二人が心を許しあっているほどに注がれる量は多くなり、身体能力は上がります」
度々、智が感情が抑えられなくなるのは、この勇者因子の共鳴が元凶である。
「そして、勇者メイドは勇者因子を持っている時点で勇者に惚れやすくなります。それもまた逆も然りです」
つまり、
「これで私と智様は相思相愛です。これで堂々とイチャイチャできます」
簡単に言うと「お前らはよくっつけ」と抑制されている感情を解放している恋のキューピット的存在であり、その副次効果として身体能力が上がるのだ。
「………………はぁ?」
部屋に底冷えするようなシトラスの声が響いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さって。なんか作者も頭こんがらがってきたんで次回は設定資料集書きます。
いや、しっかりと設定は考えてるんです。でもなんか書いてると頭こんがらがってきたので、自分用の整理と、多分読者も頭はてなマークでいっぱいだと思うので書きます。
力不足でさーせん!!(土下座)
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