閑話 エロ本ハンター川藤
夏休みに入ったからといって、劇的に変化する人は少ないだろう。聞くところによると、我が友暁斗は、夏休みも変わらずに幼なじみの恋人とイチャイチャしてるらしい。
リア充爆発しろ!
そんなことを思う俺、川藤照永は野球部の練習の合間に趣味のエロ本集めを行っていた。もちろん、未成年だし買えはしない。なので、色んなエロ本スポットと呼ばれるエロ本が落ちてる場所を探し回っていた。
思い起こせば、初めて俺がエロ本に触れたのは小学生の頃の父親の部屋でのことだった。隠れんぼで見つけたエロ本に俺は衝撃を受けたのだ。
まあ、何故か父は人妻、熟女系列ばかりなので俺も趣味がそっちに偏ったが、他にもエロ本を見て衝撃を受けた同士はいた。暁斗も誘ったことがあるのだが……『ごめん、何がいいのか分からない』と平然と抜かしやがった。
あのリア充め!
まあ、別にいいさ。そんな訳で暁斗にエロ本ゲットメールを送ってから俺は他のスポットを探していた訳だが……俺はその日運命の出会いをしたのだった。
いつもの林の中でのこと。今日の獲物の中にそれは混じっていた。今まではリアルの人間モデルのエロ本だったのだが……しかして、それはそれらとは別次元のものだった。
少年ジャ○プに出てくるようなヒロインのエッチな絵柄。初めての二次元のエロ本に俺は感動すら覚えた。
「そうか……エロは次元を越えるのか……」
思わず俺はそのエロ本を近くの気に祀ってしまった。きっとここは今日からエロ本の御所と呼ばれるだろう。そう思ってその日からずっと俺はそこに通うことにした。
雨の日は御所が濡れないようにビニールをかけて。突風の日は御所からエロ本が飛ばないように括りつけて。そして、その日も御所に参拝に行くと1人の老人がいた。
一目見ただけで分かった。こいつは出来ると。
向こうも俺に気づいたようだ。
「……名前は?」
「……川藤照永」
「ワシは大筒木天果(おおつつきてんか)。通称エロ本オヤジじゃ」
「よろしく」
エロ本を好きな奴に悪いやつはいない。俺はこのエロ本オヤジに弟子入りして色んなことを学んだ。エロ本には他にも映像のものや、二次創作と呼ばれるものまであると。エロ本オヤジは熱心に俺に色んなことを教えてくれた。
「ワシはもう長くない……照永。お前が次のエロ本オヤジを継いでくれ」
「師匠、俺にはまだ荷が重い……」
「大丈夫じゃ。エロ本神様はワシらの味方じゃからな」
「師匠……!」
その後俺がエロ本オヤジを継いだかについては聞くまでもないだろう。まあ、彼女出来たらエロ本オヤジのことは普通に忘れたけど。
ちなみに、エロ本オヤジはその後俺が成人するまでずっとピンピンしてたそうだ。
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