第88話 癒し系
「はぅ……」
「お疲れ様。ほら、飲み物買ってきたよ」
「ありがとう、あっくん」
ベンチに座る琥珀にジュースを渡すと可愛らしい小さな口にストローを咥えて飲み始めた。なんか、時々琥珀がエロく感じるのは俺が欲求不満だからかな?うん、きっとそうだ。むしろ、可愛い琥珀をいかがわしく見る俺が悪いのだろう。
ジェットコースターが終わると、フラフラしていた琥珀をベンチに座らせて休ませていたのだ。
ちなみに、両親はもう何周かするらしく、また列に並んでいた。
「美味しいね」
「琥珀頑張ったもんな」
優しく頭を撫でてあげると猫のように目を細めて気持ちよさそうにする琥珀たん。うん、全ての行動が可愛いのって反則だよね。
「あっくんは大丈夫だったの?」
「ああいうのは慣れてるからね」
前の時、琥珀を失ってから暫く、俺は1人の時に荒れていた時期があった。どんなに琥珀を追い詰めた連中が憎くても、それに気づけなかった俺が1番悪いと思ったのだ。だから、死なない範囲で自分を傷つけようと色々したものだ。
もちろん、家族にも友人にも内緒で。あまり詳細には話せないというか、話すと多分眉を潜めるような行動ばかりだけど、その中で、知人の車で峠を越えるというものがあったのだ。何度も車体が浮いて、死にかけた経験があり、その時に本気の命の危険を知ったからか、ジェットコースター程度なら問題なかったりする。
まあ、元から平気だったことは付け加えておくけどね。
「2人で来る時はもう少し大人しい乗り物メインにする?」
「うん……お願い」
俺としては琥珀の可愛い姿を見たいが、無理強いはしたくないのだ。だから、ちゃんと今度は2人きりで来る約束をしつつそうしてフォローをしておく。
「琥珀は動物園とか水族館の方が好きだもんね」
「むぅ、子供っぽいかな……」
「いいや、俺としては可愛いと思うよ」
「そ、そうかな?」
ふ、可愛いやつめ!屋外じゃなければ襲ってたかも (多分)
というか、動物を愛でる琥珀たんとか多分ただの天使だよね?琥珀エンジェル(エコー)
「お母様達はまだ乗るのかな?」
「みたいだね。2人でゆっくり待ってようよ」
「うん……ありがとう、あっくん」
俺としても、琥珀との2人きりの時間は何より楽しいのでそちらを楽しむことにするのが1番だろう。そういう意味では2人きりになれるようにしてくれた両親には少し感謝しておく。まあ、多分ただ乗りたいだけだろうし、夫婦で楽しんでるのは明白ではあったが。
昔から、夫婦仲よくて、子供の俺が置いてけぼりは有り得たからなぁ……まあ、一応気にしてはいるし、迷子とははぐれたりはしたことないけど、見慣れてる光景としか言えないので、そこに癒しである琥珀がいるだけで本当に素晴らしいことだと思うよ。いや、マジで。
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