第43話 探り合い
「あっくん。じゃあ、また後でね」
放課後になり、本日は書道部のターン。なので部室まで連れ来ると琥珀がそう可愛らしくて手を振る。名残惜しいが、俺も部活……の前にやることがあるから仕方ない。
「終わったら迎えに来るから、待ってて」
「うん!あ、でも……あっくんの部活姿もみたいかも」
えへへと笑う琥珀たん。あぁぁぁぁあ!!!!もう、なんでこんなに可愛すぎるのさ!よし帰ってから存分に愛でようとそっと頭を撫でてから俺は満足した琥珀を見届けて図書室に向かう。
部長には少し遅れると伝えてあるから心配ない。どうしても1度話す必要がある人物がいたからだ。
図書室には少し人がいたが、まあ、問題なく件の人物は見つかった。読書スペースで1人で勉強している黒髪の少しキツい印象の美少女。まあ、全く好みじゃないけどね。琥珀たん一筋なので。向かい側に座るとその美少女――琥珀の友達の浪川黒華はチラッとこちらを見てから気にせず勉強を続けた。
向こうも興味無いようでまさに相思相愛だ。……嘘です、本当は琥珀だけ相思相愛がいい。もう琥珀とだけイチャイチャしたい。琥珀たんマジ天使(キリッ)などと琥珀のことが恋しくなりつつ俺は声をかける。
「浪川さん……だよね?」
「そうだけどなに?」
「少し相談があってね」
興味無さそうに勉強を続ける浪川に俺は早速本題に入ることにした。
「君は琥珀の友達――味方でいいのかな?」
「……さあね」
「なら、面倒な連中のことはどう思ってる?」
「……どこまで知ってるの?」
「さてね」
まあ、俺はあくまで断片的にしか知らないが……
「俺は琥珀の彼氏だ。そして琥珀は俺の大切な彼女。その琥珀に手を出す奴は誰だろうと許すつもりはないんだ」
「余計なことはするなってこと?」
「まさか。君のことは別にいいんだ。ただ、君がやられてる事を琥珀が知ったら間違いなく琥珀は君を助けようとする。その時のためにね」
琥珀の交友関係に口を出すつもりはない。ただ、その周りはクリーンなほど尚良なのだ。
「私を助ける理由がないと思うけど……」
「いいや、琥珀は君を友達と言ったんだろ?なら、絶対に助ける。あの子はそういう優しい女の子だ」
「……かもね。すっごいお人好しに見える。目の前の腹黒と違って」
失敬な。誰が腹黒か。俺は普通に琥珀たんラァァブなだけなのだ。
「まあ、とにかく……俺の可愛い彼女の友達なら、琥珀を裏切ったり悲しませたら絶対許さないとだけ言っておく」
「過保護」
「いいんだよ。それと、片付けるなら早いうちにしたいところとだけ伝えておく」
かなり色々深読みな会話になったが、話してて確実に伝わると分かったから大丈夫だろう。まあ、こんなところ琥珀に見せられないけど……どうせ向こうも、琥珀には言わないだろうしね。
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