第30話 バスケ部見学
「えい!」
可愛らしく、バスケットボールをパスしてくる琥珀。まあ、届かなくてバウンドするけど……それも可愛いのでOKだろう。意外にも、琥珀が最初に見学したがったのは運動系の部活動だった。
琥珀の運動神経が良いどうかについては、可愛い女の子走りを見れば一目瞭然だけど、最初からそれを否定するほど俺は琥珀に鬼ではない。怪我をしない程度にやらせて、本当にやりたいなら応援するスタイルだ。
「君、上手だね。男子の方に入らないの?」
女子の見学なのだが、女子の先輩からそんなことを聞かれた。多分、琥珀が取れるようにパスしてる姿から、さっしたのだろう。
隣のコートでは男子がバスケをしている。男子の方は女子より圧倒的に人数が多いのだが、多分この時期に流行ってたバスケ漫画の影響だろう。
「俺はあくまで、可愛い恋人の付き添いなので」
「そっかー、君可愛いから向こう入ってくれたら嬉しいんだけどなぁ」
「むぅ」
その言葉で琥珀が嫉妬するのが分かった。やべぇ、なんかプクって頬っぺ膨らませる可愛いハムスターがそこにいた。まあ、女子の先輩の冗談だし真に受ける必要はないと思うけど、可愛いのでとりあえず写メを撮っておく。
「あ、あっくん……なんで、撮ったの?」
「ごめん、可愛くてついね」
「恥ずかしいのにぃ……」
顔を赤くする琥珀に微笑んでから、俺は女子の先輩に言った。
「こんな感じで恋人Loveなので、難しいかと」
「ふふ、だねぇ。あ、じゃあさ、私と1on1しない?」
「俺がですか?」
「可愛い恋人にカッコイイところ見せれるよ?」
まあ、それはいいけど……いくらなんでも女子と男子じゃ微妙にバランスが悪いような気がするけど……
そうして、丸め込まれてしまって俺はバスケットボールを持つ。こんな感触だったなぁと思いながら、相手の先輩にパスしてからもう一度ボールが戻ってきて試合を始める。
とはいえ、一瞬だった。低く相手を抜いてからレイアップであっさりと1点取る。
「これでいいですか?」
「……凄いね。本当にバスケ部入って欲しいくらいだよ」
「恋人が望めばそうしますよ」
その本人である琥珀は俺の勇姿に可愛らしく見惚れてくれていたようだ。可愛いヤツめ。まあ、その後にそれをたまたま見ていた男子の部員からしつこく勧誘されるけど、琥珀もそこまでバスケには興味を持てそうになかったので断って次に行くことにした。
体験入部とまではいないただのお試しでこれなら、琥珀も安心だろうけど……出来れば本人が楽しいと思える部活に入って欲しいものだ。
あと、琥珀たんたら、可愛すぎる。
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