第7話:枢機卿会議2・聖女ローゼマリー視点
私の心は、怒りの感情でグツグツ音を立てて煮えくり返っていた。
フレディの糞野郎は、この機会を利用して、私をここから追い出す心算なのだ。
私に聖女名誉教皇の称号でも与えて追い出し、ライラ派に寝返った前教皇派を取り込んで、自分が圧倒的な力を持った教皇になるつもりなのだ。
それだけならここまで激怒しなかったが、フレディの根性悪は、私を婚約破棄された不名誉な女だと揶揄したのだ、絶対に許さない。
「そう、フレディ枢機卿のお考えはよく分かったわ」
私はにっこりと微笑んでやったが、内心では呪いの言葉は吐き散らしていた。
フレディ枢機卿を殺してくださいと、真摯に復讐の神に祈り乞い願っていた。
じっと、視線を固定して、殺意を込めて、フレディ枢機卿の目を見続けた。
視線で射殺すという表現はあるが、まさにその心算で睨みつけてやった。
表情的には笑顔を浮かべてはいるが、視線に殺気がある事は、誰が見ても明かだ。
それは円卓に座っている他の二十人の枢機卿にも明らかだろう。
「うっ、うっうっうっうっぎゃ!」
私が長時間視線を外さないので、最初は睨み返していたフレディ枢機卿だったが、遂に私の視線から逃げた。
そのとたん、フレディ枢機卿が胸を押さえて苦しみだした。
横に座っているフレディ派の枢機卿達も、固まったように動けなくなってる。
何が起こったのか、誰にも分からないようだ。
だがそれは私も同じで、これが天罰なのか、私との睨み合いで心に負担がかかったのか、区別をつけることができなかった。
「フレディ枢機卿、お気を確かに!
おい、外に連れ出して治療だ、急いで治療をするんだ!」
フレディが痙攣を起こしたのを見て、ようやくフレディ派の枢機卿達が慌てて動き出したが、ここで助けられては意味がない。
それに、こいつらは枢機卿のくせに枢機卿会議の意味が分かっていない。
教会の命運を左右するような大事だから、全枢機卿をここに集めたのだぞ!
重大な決定もせずに、会議を放り出しては枢機卿の資格はない。
そもそも枢機卿ともあろう者が、自分の体調を管理できないでどうする。
ああ、いけない、復讐のための三年で、言葉が荒くなってしまっていますね。
聖女教皇代理になったのですから、昔のような令嬢言葉に直さなければ。
「おまちなさい、貴男達は重要な枢機卿会議を何だと思っているのですか!
神の前で教会の重大事を決定するために、忙しい枢機卿が全員集まっているのですよ、それを放り出して出て行くというのなら、枢機卿の資格はありません!」
「聖女!
お前はフレディ枢機卿を殺す心算か!」
馬鹿が本音を出して私を呼び捨てにしましたね。
いいでしょう、その喧嘩、買って差し上げますわ。
ですが覚悟しなさい、買った以上、必ず勝って見せますからね!
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