離婚してもいいですか?
あかりんりん
離婚してもいいですか?
8回目の結婚記念日の翌朝、子供たちの朝ごはんを用意していると、ふとテーブルにあった本に気がつく。
本のタイトルは「離婚してもいいですか?」
何気なく読んでみると15分程度で読み切れて内容も面白い。
さて、なぜこの本が置いてあったのか?
今日は珍しく8時を過ぎても妻は寝室から降りてこない。
まさかこれは妻からの警告なのでは?
不安がよぎる。
そういえば本の登場人物が「モラハラ夫」と「いつもニコニコして感情を我慢している妻」で、妻が離婚を目標にして働き始めるストーリーだ。
特徴が私と妻に似ているではないか。
今まで気がついていない人も多いだろうが私は友人から「ノンモラルマン」とも呼ばれた事がある程にモラルに欠けているのだ。
原因はおそらく0歳から何度も行った中耳炎の手術の副作用だろう。
だが、運命を恨むつもりはない。
さて、話を戻そう。
もし離婚されたとして、子供たちの親権だけは譲りたくないが、妻の浮気など無い限り勝率はゼロだろう。
「妻の浮気か・・・」
気が付けば私はイケメンでお金に困っている友人に電話していた。
それからしばらく経ったある日
「よくやってくれた」
私はそう言って厚みのある封筒をイケメンの友人に渡した。
「いえいえ、こちらこそ」
とイケメンの友人はニヤニヤしながら封筒を受け取った。
その後、裁判も私の勝利に終わり、数日して妻が自分の荷物を整理している時に
「そう言えばあの本は?離婚してもいいですか?って本」
と聞いてみたが、妻は
「なにそれ、そんな本知らない。さてと、8年間お世話になりました。」
と頭を下げた。
今日から私の親と子供たちとの生活が始まる。
元気を出さなくては。
そして新しい生活にも慣れた頃、7月7日がまた訪れた。
本来なら9回目の結婚記念日である。
SNSなどの噂で、妻とイケメンの友人が一緒に暮らしていることを聞いた。
どうしてこうなってしまったのだろう?
そうか、去年の結婚記念日の翌日にあの本を見つけた時の私の勘違いからか。
あの本はまだ見つかっていない。
そういえば七夕のこんな話を聞いたことがある。
織姫と彦星は仲が良すぎて仕事を怠けるようになったため、天の神様が怒って2人を年に1度だけ会うことを許した。
その後2人は真面目に働き始めたが、年に1度しか会えない相手の潔白を疑うようになった。
そして2人は相手に気付かれないように式神を使って相手を監視することにした。
「相手が潔白でありますように」と願いを込めて。
それが「短冊」の由来である。
もしかしたら、去年の7月7日に神様があの本を置く事で、私達夫婦の絆を試したのだろうか?
そして私は、妻を疑ってしまった。
もしもあの日、妻を信じることが出来ていたら
もしもあの日、素直に過去の事を謝っていたら
もしもあの日、反省して生まれ変わると誓っていたら
「後悔先に立たず」とはよく言ったものだ。
次の7月7日にはあなた達の夫婦の絆を試されるかもしれない。
どうか、私のようにならないで欲しい。
それが、私の七夕への願いだ。
以上です。
読んでいただきどうもありがとうございました。
ある朝、義母が机の上に置き忘れていた本を見つけて、小説にしてみました。
離婚してもいいですか? あかりんりん @akarin9080
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます