第314話 後悔
「……それがどうかしたか?」
俺がそう言うともったいぶったようにスマホを見せつけながら、外川は先を続ける。
「まぁまぁ。慌てないでよ。でもさ、一つ確認していいかな?」
「……早く聞けよ」
「これから僕が見せるもの、たぶん君が見たら後悔すると思うんだけど、大丈夫?」
さも心配しているかのようなわざとらしい調子で、外川がそう聞いてくる。
……なんだか、本当に嫌な予感がしてきた。俺は外川をにらみつける。
「……どれくらい後悔すると思う?」
「う~ん……すごく後悔するかなぁ。僕としては、本当は、後田君に見せたくないんだよね~」
これまたわざとらしく、外川は悲しそうな顔でそう言う。
「……それは、俺と真奈美に関係のあることなのか?」
俺がそう言うと急に満面の笑みを浮かべて、外川は俺を見る。
「もちろん! そうでなければ、こんな場所まで君を連れてこないよ!」
……なるほど。薄々感じていた嫌な予感は当たってしまっているようだ。
しかし……俺が後悔するような真奈美関係のこと……スマホを持ち出しているということは、写真か、映像か?
俺が見たことを後悔するような真奈美関係の画像か、映像……。
「……それ、見なくちゃ駄目か?」
俺がそう言うと外川はキョトンとした顔をする。それから、急に笑い出した。
「あははっ! そっか……確かに見なければ、知らないわけだし……後悔することもないものね~」
「……ということで、俺はこの部屋から出ていく。それでいいか?
「……いいわけないでしょ。だから、鍵閉めたんだし」
急に冷たい表情になって、外川は俺を見る。俺も思わず身構えてしまった。
「……つまり、見るしか選択肢がないってことか」
「フフッ。まぁ、そうだね。僕ももったいぶるのやめるよ。ほら」
そう言って、外川はスマホの画面を俺に見せる。
そこに写っていたのは……楽しそうに会話をしているように見える中原と真奈美の画像なのであった。
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