第273話 味方……?

「……端井。なんで……」


「あ、いや、私は……後田さんのことが心配だったので……」


 戸惑い気味にそう言う端井。おそらく、尾行は気づかれていないと思っていたのだろう。


「いやぁ~、ちょうど良かったよ~。学校からずっと付いてきてくれてたからさ~。いつ話を振ろうか考えてたからさ~」


 困惑する俺と端井は放って、勝手に話を始める外川。


「……なんですか。アナタはさっきから話を聞いていれば……」


 そして、案の定、端井は外川に敵意むき出して睨みつける。


 しかし、外川は意に介していないようで話を続ける。


「だからさ~、言った通りだって。僕はね、後田君が勝手に陽キャになっているのがムカつくってわけ」


「……別に後田さんがどんな人になろうが、アナタには関係ないじゃないですか」


 端井がそう言うと、外川はニヤリと微笑む。なんだか嫌な笑い方だった。


「ホントに、そう思っている?」


「は? どういう意味です?」


「いや~、別に深い意味はないよ~。でもさ~、仮に後田君と前野さんが付き合っちゃうと……君、一人になっちゃうでしょ?」


 外川の言葉に端井はショックを受けたようだった。俺も、学園祭の時の端井の言葉を思い出していた。


 ズルい……端井は今も俺のことをそう思っているのだろうか?


「そ、それは……でも、私は……」


「あはは~、だからさ、そうならないようにしてあげるって話なわけだよ~」


「……だから、どういう意味です?」


 外川はなぜかいきなり端井の肩に手を回す。


「僕は君に味方するってこと。安心してよ~。ちゃんと後田君と付き合えるようにしてあげるからさ~」


 端井も驚いていたが、俺も驚いた。とにかく、外川はとんでもないことを言い出したのであった。

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