第260話 嵐の後
それから、学園祭が終わってから数日が経った。
今思い返してみてもなんだか、嵐のような……現実味がない時間だった気がする。
そして、俺は前野に告白されたわけであるが……特段その後何かあったわけでもなかった。
前野の態度は以前と変わらなかったし、それに対して俺もどうにかするということもなかった。
横山の方は……どうしているかはよくわからなかった。
あの感じだと中原とのことをどうにしないといけないとは思うのだが……具体的にどうすればいいのかは俺にも思いつかなかった。
「……後田さん」
と、俺がそんなことを考えていると、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「……端井」
そして、端井は……こちらも大きな変化ないように思えた。
しかし、なんだか、いつも酷く機嫌が悪い雰囲気を放っていて……話しかけてきたのは学園祭が終わってからはこの時が初めてであった。
「今日、ちょっと聞きたいことがあるので、一緒に帰りませんか?」
学園祭が終わって以降、初めて、端井にそう言われた。俺は思わず前野の方を見てしまう。
前野はなぜだか余裕を持った笑顔で俺のことを見ていた。別に構わないよ、とでも言いたいような表情だった。
「……まぁ、いいけど」
「じゃあ、放課後」
それだけ言って、端井は自分の席に戻ってしまった。
ふと、俺は前野が言っていたことを思い出す。
そういえば、そろそろ修学旅行か……あれって、グループで行動するんだよな……俺はそういうの苦手だ。
……グループ? グループって……誰とグループを組むことになるのだろう。
それを考えると、なんだか俺はまた嫌な予感がしたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます