第214話 二人の問題

「じゃあ……クラス全体に向けて聞くってことになったんですね」


 前日と同じように、俺を待っていた端井に、今日決まったことを話していた。


「……あぁ。まぁ……あんまり期待はできないけどな」


「そりゃあ、クラス全体に聞いても出てくる意見は大体変わらないと思いますよ?」


 ……端井の言う通りだ。おそらく、出てくる意見はお化け屋敷や喫茶店だろう……まぁ、それは別に俺や前野、横山の責任ではない。


 むしろ、俺が気になっているのは……別のことだった。


「……そういえば、端井。一つ聞きたいんだが」


「はい? なんでしょう?」


「……横山と中原って、付き合っているんだよな?」


 俺がそう言うと端井は怪訝そうな顔で俺を見る。


「……え? それを私が知っていると思うんですか?」


「……まぁ、お前、そういう情報に詳しいし」


「あのですねぇ……私、別にクラスの情報屋じゃないんですけど」


 不満そうに頬を膨らませる端井だったが、やれやれという感じでため息を付きながらも話を続ける。


「付き合っているって、感じじゃないですね。あれは」


「……違うのか?」


「えぇ。女のカンですけどね」


 女のカン……端井のカンが冴えているのかはわからないが、付き合っていないように見えるということだろう。


 それでも、中原は横山のことを自分のモノだと言っていた……それって――


「後田さん。なんか余計なこと、しようとしてません?」


「…‥なんだ。余計なことって」


「だって……いいじゃないですか。もう。横山さんは中原さんのことが好きなんでしょう? だったら、それは二人の問題ですよ」


 不機嫌そうにそういう端井。それは確かにそうだ。


 確かにそうなのだが……どうにも俺には横山をこのまま放っておいていいのか疑問だった。

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