第211話 待ち伏せ

「……あんな感じで良かったのかな」


 結局、その後もうまく話し合いは進まず、各々がアイデアを考えてくるということで、その日は解散となった。


 正直……あのメンバーでうまく実行係ができるかどうか不安だ。前野はともかく……横山が意外と意見を言ってくれないのが意外だった。


 というか、中原とのやり取りもどうも気になる。あの感じ……中原はどうしてあんなに横山に高圧的だったのだろうか?


「あ……後田さん!」


 と、聞こえてきたのは、端井の声だった。


 見ると、校門の入り口と端井が待っていた。


「……お前、待ってたのか?」


「え、えぇ……前野さんは?」


「……話し合いが終わったらすぐに帰ったよ」


 まぁ、前野だけじゃなく、横山もなぜか急ぐような感じで話し合いが終わった直後に帰ってしまったのだが……。


「……よし!」


「……なんか言ったか?」


「い、いえ! えっと……それなら、一緒に帰りませんか?」


 苦笑いしながら端井はそう言う。正直、誰かに現状を相談したい気分でもあったし……むしろ、誰かに会いたかったくらいだった。


「……あぁ。帰ろう」


 こうしてなぜか上機嫌な端井と、不安な気分を抱えたままの俺は一緒に帰ることになったのであった。

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