第154話 真意

 結局、端井をリビングに通してしまった。


 全体的に黒い端井は、見ているこっちからしても暑苦しかった。


 端井はおとなしく椅子に座り、なんだか居心地悪そうに周囲を見回している。


「……麦茶でも飲む?」


 俺がそう言うと端井は曖昧な笑顔を浮かべながら頷いた。なんだか調子が狂ってしまう。


 俺が麦茶をコップにいれて帰ってくる。端井は申し訳無さそうに頭を下げた。


 端井が麦茶を飲んだ後、しばらくの間、俺と端井の間を沈黙が支配する。


 ……そもそも、こいつ、一体何しに来たんだろう。


 考えてみれば、横山の幼馴染、中原を連れてきたのも端井だ。なんというか……こいつ、変なところで行動力があるヤツである。


「あー……その……いいですかね?」


 先に切り出してきたのは、端井だった。


「……あぁ。なんだ?」


「その……えっと、ですね……今日は……あ、あ……」


「……あ?」


 俺がそう言うと端井はものすごく恥ずかしそうな顔をしたあとで、観念したかのような表情で小さく俺に向かって頭を下げる。


「……謝りに来ました。すいません」


 ……なんで端井が家にやってきたのか、目の前でいきなり端井がとった行動によって、その真意は……完全にわからないものになってしまったのであった。

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