第126話 堂々巡り

「……暇だな」


 俺はベッドに横になりながら、1人部屋の中で、誰に話すわけでもなくそう呟いた。


 長い、長い……休みがやってきた。学校に行かなくなってしまった以上、俺はまるで予定がなくなってしまった。


 学校があれば「学校に行く」という予定ができる。だけど、休みの時はそれがない。


 ゲームをやるにしろ、漫画を読むにしろ、色々と選択肢はあるが……やる気が起きなかった。


 こうやってダラダラと時間が浪費されていく。無論、勉強だってやらなければいけないので、無限にダラダラしていられるわけではない。


 だけど……しばらくはダラダラとしていられる。まぁ、ダラダラするのが好きなわけではない。仕方なくダラダラしているというのが正しいのかもしれないが。


 そんなくだらない堂々巡りを考え続けていた、その時だった。


 スマホに着信があった。画面に表示されているのは……。


「……前野」


 前野からのメッセージだった。そして、内容は一言。


「……『会わない? 暇でしょ?』……はぁ。まったく、アイツは……」


 確かに俺は暇だ。だけど、それを見透かされている感じなのはなんというか……腹が立つ。


 腹が立ったが……俺はゆっくりと身体を起こし、外出の準備を始めるのであった。

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