第127話 制服の彼女

「……めちゃくちゃ暑い」


 外に出ると死ぬほど暑かった。毎年このくらいの暑さを経験しているはずなのに、まるで慣れない。夏の暑さというのは不思議だ。


 俺はそれでも歩き出した。前野からの返信では、家から少し離れた場所にある公園にまで来いとのことであった。


 正直、なんで俺は前野の誘いに乗ってしまったのだろう。わざわざこの暑い中、どうして前野に会いに行くためだけに外に出ることを選択してしまったのだろう。


 俺はそこまで考えてふと立ち止まってしまった。


 前野に逢いたいから……俺はわざわざ外に出たのか?


「……違う。呼ばれたからだ」


 自分の中ではっきりと否定することで、自分の気持ちを整理する。


 俺は汗だくになりながら、なんとか公園にまでたどり着いた。公園はそれなりに大きく中央では噴水が涼しげに吹き出している。


 確か、前野は噴水の前で待っているって……。


「あ」


 すぐに俺は前野を発見した。


 噴水の前でなぜか制服を着た前野が、俺のことを見つけると嬉しそうに手を振りながら、こちらへ走ってきた。


「ホントに来たんだ。フフッ」


「……お前が呼んだんだろう……というか、なんでお前、制服なんだ?」


 俺がそう言うと前野は自分の服を見て、俺に笑顔を見せる。


「学校がない時に、私の制服見るのも、新鮮でしょ?」


 なぜか自信満々にそういう前野。だが、実際俺は……確かに新鮮だと感じてしまうのであった。

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