第5話 方法
「後田君」
俺が帰ろうとしていると、声が聞こえた。振り返ると、前野だった。
前野が座ったままでこっちに来いと、手で合図している。
俺は不審に思ったが、呼ばれるままに前野の方に近づいていく。
「……何?」
「聞きたいことがあるんだけどさ。教えてくれる?」
「……俺で教えられることであれば」
「あのさ、友達ってどうすればできるの?」
あまりにも予想外な質問を、前野はしてきた。友達がどうやればできる、か……一つの大きな疑問が俺の中に浮かぶ。
「……なんで、それを俺に聞くの?」
「だって、後田君以外に聞けそうな相手、思いつかなかったし」
そう言われるとなんとなく嬉しいが……かといって、俺はそれを教えられるような人間でもない。
「……さぁな。まぁ、適当に話してれば、できるんじゃないのか?」
「適当? アバウトすぎてわからないんだけど」
不満そうな表情をする前野。俺は……答えに困って黙ったままで席についた。
俺が答えられないのを察すると、前野もそれ以上は聞いてこなかったが……なんだか、段々面倒なことになってきている気がする。
友達の作り方、ねぇ……じゃあ、俺が前野の友達になればいいじゃないか、って話だが……。
生憎だが、俺は前野のようなクールな雰囲気の美少女にいきなりそんなことを言える程の人間ではないわけで……。
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