前の席の前野さんと後ろの席の後田くん
味噌わさび
第1話 席替え
俺、後田
名字が後田だから……というのはあまり関係ないだろうが、とにかく、なぜか毎回後ろなのである。
といっても、別にそれが嫌というわけではない。後ろの席にいれば教師の目もあまり届かないし、ぼんやりとしていることもできる。
おまけに今回は俺の席は窓側だった。窓の外をぼんやりと眺めながら、授業が終わるのを待つ……なんとも、贅沢な状況じゃないか。
それに、俺に話しかけてくるクラスメイトはほとんどいない。窓の外を眺めていれば、時間は勝手に過ぎ去っていってくれるというわけだ。
俺はそれが苦痛ではないし、むしろ、そうであってほしいと願っていた。
だが……そうはならなかった。
俺の前の席には、女子が座っていた。長く綺麗な黒い髪に後ろからでもわかる整った顔立ち……名前は確か……前野。前野真奈美だ。
前野……俺の前の席だからマエノ……くだらないことを考えながらも、きっと俺と前野は接点などなく、過ごしていくことなのだろうと思っていた。むしろ、そうであってほしいと思っていた。
しかし、俺のそんな願いは、簡単に打ち砕かれる。俺は前野真奈美と、否応なく接点持たされることになってしまうのであった。
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