終界の眼

持元 陽

第1話黒夢

慌ただしい雨の音で目が醒めた。

外は相変わらず激しい雨だ。

半年前からずっとこの調子だ。

晴天なんて言葉はここ最近耳にしてない。

「はあ...」

と覇気のないため息を思わず漏らす。

時計を見るとまだ朝の6時だ。学校に行くのにはまだ早い時間帯である。

仕方ないので朝のニュースを見ようとテレビをつける。

するとそこに映るのは「戒者」という人とはまた違う謎の能力者についてであった。

戒者というのは外見は人間とはほぼ同じなのだが問題なのはその目に宿る能力であり、人間でいう超能力が彼らにはあるのだ。

能力はすべての戒者で異なっており、例えばこの狭馬市の住宅街の一つに住んでいる

焔 花境もその戒者の中の一人であり彼の能力は単純に「見えないはずの物が見える」というものであった。

もっと詳しくいうと壁などを透視し、どこに何があるかなどを見ることができた。

人間は彼らの能力を「真眼」という。

テレビからその戒者について語っている自称「戒者専門家」がいた。

さっきもニュースでやっていた戒者が起こした事件のことのようだ。

「それでね、今回のこの事件のことを聞いて我々はもう少し彼らに対する警戒を強化すべきなんだと思うんだよ。」

戒者を見たこともない癖にこれほどまで偉そうに語るのを見て花境はチッ、という舌打ちをする。

「...くそが、これだから人は嫌いなんだ」

その瞬間に家の電話が鳴り出した。

...相手が誰かは察しがつく。

「...はい、焔ですが」

「おお出たか、私だ」

「何の用だ二村、俺は忙しいんだぞ」

「実は今回もまた事件でな、大事になる前にさっさと片付けてほしんだが」

「俺は破戒業は苦手だ。お前がやればいい」

「生憎私も忙しくてね、そもそも私の能力事態は著しく低いのでね、出来れば君に任せたいんだ」

「戯言を。前なんか山にでかい熊が現れたと聞いて行ってみたらお前が仕留めてたじゃないか」

「あれは偶々私の能力が役立ったのだよ。熊の力が大きいおかげで模倣能力を扱ったから熊は倒せたんだ」

そう、二村春子。

こいつも戒者の一人であり、俺の戦闘の武器などを提供してくれる。が、本人自体は全く戦闘に参加していないと言っても過言ではない。ちなみにこいつの能力は「模倣」。

能力の内容は実にシンプルであり眼で見た物事をすべて一瞬で覚え、それを時間を掛けず作りだすことのできるなんとも便利な能力だ。

「はぁ...仕方ない。

行ってみることにするか」

「話が早いじゃないか花境。

唐突で悪いがすぐにこちらに来てくれ。

依頼の内容を話したいんだ」

「ああ、そうする」

「頼んだぞ」

そうしてガチャ、という音と同時に電話が切れ、ツー、ツー...という音が途切れ途切れに電話から聞こえた。

「そうだ、今日は学校は休むってあいつに言っておくか」

そうしてまた番号を打ち、電話を掛けた。

そしてすぐに相手は出た。

「ああ、神奈、今日は少し学校を休むよ」

「..........?」

「用事ができたんでな。それが理由だ」

「............」

「ん?ああ俺なら大丈夫だ。特に無理はしていない。こっちも忙しいからな。切るぞ」

そう言いながら花境は電話を切った。

「さて、面倒だが行くとするか」

ーつづくー

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