貴方は誰ですか

 夜、歩きます。

 月が、けぶっています。

 まんまるに見えます。

 でも、どうでしょう。

 ぼやけるせいで、そう見えるだけ。

 そう見えるだけ、かもしれません。

 ねえ、お月さま。

 貴方は今日、満ち足りてますか?


 夜、歩きます。

 月が、けぶっています。

 薄い布被り、隠してるみたいに。

 何のせいでしょう。

 薄い雲ですか。

 それとも霧ですか。

 月をけぶらせている、そこの貴方。

 貴方は一体、誰ですか?


 夜、歩きます。

 ふと、止まります。

 分かれ道です。

 遠くを見れば、霞んでいる気がして。

 うっすら霧が、出ている気がして。

 でもそれはまるで、錯覚のようで。

 そこの小道さん。

 その先に霧は、いるのですか?


 夜、歩きます。

 息を吸います。

 しっけた匂い、不思議な香り。

 一体これは、何でしょう。

 霧のせいかもしれません。

 いや、昼降った雨のせいでしょうか。

 詩を書く私に、訊いてみましょう。

 この正体は、霧ですか?

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