第七話 ゴブリン邸とお祝い 6


「どれくらい集まった~?」


一通り取り尽くしたであろう咲夜、が影兎に近づいていきながら本数を聞いた。


「僕は20本だね」


これは、かなりの大収穫だ。普通ならば、こんなにも大漁に採取されることは滅多にない。


「おおー!私は25本!」


また、咲夜も負けじと沢山キィヒランデを見つけていた。


それからギルドへ向かって帰りだした。ギルドに着くなり薬草の換金をし始めた。


「薬草採取の依頼、かんりょーしましたー」


咲夜はギルドカウンターに、影兎は咲夜の陰にいる。


「この量は.......いったい.......」


職員さんは、薬草の多さに戸惑いながらも訳を聞いた。


「まあ、いろいろあってね」


咲夜は、職員さんの気も知らないで嬉しそうに答えた。


「合計で.......45本?!ですね.......少々お待ちください」


職員さんは慌てた様子で、席を外して行った。


どうしたんだろう?かなりの時間かけて採ったんだけど.......


影兎は内心、不安しかない。これからどうなるかも知らずに


少し待っていると、さっきの職員さんが戻ってきた。後ろにもう1人、ガタイの良いおっさんがいた。顔は少し厳つくて、髪は金髪のトゲトゲだ。瞳は黄色で、口ひげを生やしていた。身長は、扉を屈まないと通れないほど高かった。


お、おぉ.......厳つ!そして高っ!


影兎は思わず声に出しそうになったが、心の内にとどめることが出来た。


「お前さんらか?『キィヒランデ』を大量に持ち込んだっていうのは」


え?え?どういうこと?


「はい!」


影兎が戸惑っているうちに咲夜が勢いよく返事した。それを聞いて


「ふーむ、奥に来てくれねぇか」


なぜか奥の部屋に2人は案内された。


「そういえば自己紹介がまだだったな。俺はこのギルドを管理している!ギルド長のゴルドウス・ウォーディだ。お前さん達は?」


かなりの声量だ。出された飲み物が振動で揺れているのが分かる。


「私は、咲夜・人影で」


「あ、影兎・如月です」


お!えっちゃん、ちゃんと反対にして言ったね!そうそう、異世界だからこうしないとね


「サクヤとエイトだな、早速本題に入ろうと思う――」


ギルド町の話が長ったらしかったので、簡単に訳すと


どうやらここ最近、薬草の納品数が減っているらしく出店にも余り出回っていないとかで、苦労していたそうだ。依頼の張り紙を出しても、受けてくれる人はいるも規定の数見つからないらしく、無限ループになっていた。そんな中咲夜達が依頼の規定よりも遥に多い、45本という数採取していた。のでどうして、どこでそんなにも採れたのかを聞きたかったそうだ。


「あーなるほど、私らが取りに行ったのは――」


         ◆ ◆ ◆


とまあ、いろいろあってランクがFからDになりました。本当はランクCにしても良かったらしいが、ランクCからは昇格試験があるためランクDまでの飛び級となった。だが運の良いことに、昇格試験を受けさせてくれるらしいので、2人とも受けることになった。


「ひろーい!」


ここは冒険者ギルドの裏側、魔法の練習や模擬戦が出来るように広く造られている。大きさは半径25メートルの円形状の中に砂場のような、小さい運動場のような感じだ。周りには会場を上から見下ろせる、応援席みたいなのがあった。


「ここで試験を受けるのか.......」(ぼそっ)


思わず声に出してしまったが、誰にも気付かれていないようだった。


そしていよいよ、咲夜と影兎の昇格試験が始まる.......

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