この作品を語る時、その「道のり」に言及しないわけにはいきません。少なくとも私は「長い作品だ……」と、読み初めに思いました。
実際に、私がカクヨムで読んだ最長の作品となります。
しばらくこの記録は破られることはないでしょう。
その分、とても濃厚、濃密な男女の恋(?)物語がつづられます。
解離性同一性障害(多重人格)は、頻繁に創作物で取り上げられる題材ですが(ライトノベルだと、「青春ブタ野郎シリーズ」が一番有名かな?)、今作は極めて実話に基づいたお話です。
リアリティーが段違いです。
予備知識なしで作品に飛び込んでも、「彼女たち」を深く理解するのは難しいでしょう。もちろん筆者の方も、それについては理解されており、とても流暢で読みやすい文体で、書かれています
彼女たちの心境の変化や、次々と「入れ替わって」登場する流れは、急流です。
けれども、「彼女たち」が、この世界に確かに存在した軌跡、それをもっと多くの人に、憶えていて欲しい。
そんな祈りが、この作品には込められています。
そして、また一人、祈りを抱く者が増えて……、