S9-小人たち
ほぼお遊びで書きました。
(フィクション成分100%)
―――――――――――――――
子供の頃に、眠っているうちに小人さんがやってきて、宿題とかやってくれたらいいなって思った事ありませんでしたか?
うわー眠い、もう死にそう、秒で眠れる自信ある。
しかしヤバイんだよねー、締め切り違いしもう少し頑張らなきゃ。
私(涼音)は、今ゲームのキャラデザイン画と格闘していた。
なんか来月のガチャの目玉キャラだとかで、萌え要素満載の清純系女の子を書いてくれとか……。
萌え要素満載で清純系って何だよ!清純が萌え満載すんじゃねーよ!
あーダメ……、目を閉じたら気持ち良いんだろうなーって思えてきた。
これ、かなりマズイ状況、目を閉じた瞬間に寝れる。
……る。
……。
「……まったく主(あるじ)にも困ったものですね……。桜花ちょっと記憶を見せてください。」
「うーん眠いのーん……、月乃ちゃんか……ほい、こんなだのーん。」
「あら……、やっぱりまずいわね、……仕方がありませんね、主に代わって私が描くいてあげましょう。」
「月乃ちゃん、イラスト描けるの?」
「描いた事はありませんけれど、描いている様子は何度も主の目を通して見ていましたから、なんとかなると思います。」
私は20年以上もコノ主(涼音)を支えてきた。このぐーたら主を、私の優秀な頭脳で何度も助けてきていた。仕事だってお料理だってやってきた。そして、私なら主に出来ることなら何でもできる、主にできない事も何でもできるという自信が芽生えていた。
「のーん、月乃がやるならどうぞ、私は寝るのーん。」
「そうね、明日の日中に主が落ちるかもしれませんから、桜花はそれに備えて先に休んでいてください。」
「はいのーん。」
さてと、レイヤー(作画階層)はこれね、作画用の液晶タブレットに専用のペンで描けばいいのよね。
……あれ……、これは慣れてないだけです、やり直しですね……。
あら!目がすごい男前だわ!これ好みです!
……おっと、これ萌え子でしたね、修正です。
……意外に難しいわね。
うーん、ポーズが難しいわね……、手と顔はしっかり書くのが基本だとか言っていたわね……。えっとバランスとか向きとか大切ですね。
何かお手本があった方が書きやすい筈ですね。
「ちょっと由比、こっちに来きてください!。」
由比は眠そうに目をこすりながら、パジャマ姿で部屋から出てきた。
「……うーん、なあに月乃おねーちゃん」
「ちょっとそこで、こういうポーズで立ってて。」
眠そうに歩いてきた由比は、視覚を覗き込んでポーズを確認する。
「うーん こうなって……こうかな?」
「パジャマじゃなくて普通の服を着てもらえる?」
「はーい。」
由比は部屋に戻ろうと歩き出す。
「ちょっと、その場で思念だけで着替えられるでしょう?」
「えー由比ハズカシーよー!」
意味わからないのだけれど……、服なんが脱ぐ必要もなく一瞬で着替えれる筈なのに……。
それでも、由比(モデル)の機嫌を損ねると面倒なことになりますね。
好きにさせましょう。
由比は自分の部屋でワンピースに着替えて戻ってきて、再びポーズをとった。
「そうね、由比そのまま動かないでね。」
「ふぁーい。」
えっと、ここがこうなってて、服のしわがこうなって……。
あら、私って天才かしら……。
「月乃、何か面白い事してるの?」
いつのまにか美雪が視界を覗き込んでいた、
「邪魔しないで美雪、これ難しいんだから……。」
「女の子を描いてるんだ……。ちょっと貸してみて。」
そう言って強引に人格交代した美雪は、手慣れた感じでボディラインを修正していく。
……って!!
「美雪!、何その胸!……普通の人間は人体にバレーボールみたいな胸なんかついてないわよ!それおかしいでしょ!。」
「月乃はわかってないなー、胸なんてパッドでも脂でもサイズさえデカければいいのよ、最近のアニメ見てないの?」
「そんなもの興味ありません!」
「ダメじゃん、女の子のイラスト書く時の基本よ!」
「でも、現実にはそんな人いないわ。」
「月乃!これはイラストよ!イラスト!実写じゃなくてイラスト!そこわかってよね。」
「胸にはめいっぱい夢を詰め込むの!」
「でも樹さんは、最近の女性のイラストは胸が大きすぎて、気持ち悪いって言ってましたよ。」
「あの人は、少し変だから……、私が誘惑してもなびかないって変態なのよ!。」
「はあ……そうなのですか?」
「そういうものです。」
「あ!胸はこれでいいけど、ウエストは大腸を全部抜いたくらいまで絞るのよ。」
……ましろを呼んで、由比の大腸抜いてもらおうかしら。でも、汚れるし、後で戻すのが面倒ですね……、私の優秀な想像力で書くしかありませんね。
美雪は胸だけ書いて満足したのか、鼻歌を歌いながら自分の部屋へ戻っていった。
「月姉ぇ、何やってるの?」
今度は美緒が興味深そうにやってきた。
「今、イラストのお仕事してるんだから、美緒は邪魔しないで!。」
「へー どれどれ。」
美緒は視界を覗き込んでくる。
「月姉ぇ、ちょっと貸してみて。」
美緒が強引に人格交代して、手慣れて感じでサラサラと目を描き直していく。
「美緒、普通は目の大きさが顔面の三分一なんて巨大じゃないと思うのですが……。」
「月姉ぇ、判ってないなー、最近はこれくらいの目がイラストじゃ普通よ。」
「はあ……、そんなものかしら……。」
「そうそう、口は実際より小さくていいからね。」
「はあ……、そうなのですね……。」
目と口を書き終えた美緒は、満足げにスキップしながら部屋に戻っていった。
さて、急いで描き上げなきゃですね。
腕とか足は細い方がいいかしら。少し身長も高くしてと……。
「ねー、由比かわいく描けた?」
由比が視界を覗きこんできた。
「ええ!!何コレ!!……由比こんな昆虫みたいなのじゃないよー!」
由比は泣きながら部屋に走って戻ってしまった。
おかしいですね……、由比を見て描いたのだけれど……。
確かに胸が頭サイズだったり、腰が異様にくびれていたり、目が異様に大きいけど、美雪や美緒の意見にも一理あるのだし。
何よりも、天才の私が書いているのだから、これなら主も喜んでくれると思うのだけれれど。
うーん、そうね私も眠くなりました、由比(モデル)も帰ってしまったし……。
お仕事を少し進めておいたから、主も感謝してくれることでしょう。
私も部屋に戻って休ませて頂きます。
月乃は、『自作物脳内補正フィルター』というのを知らなかった。
自作のものは、どんな駄作でも少し脳内補正がかかって良く見えるというアレ……。クリエイターが最も注意しなきゃならない感覚。
オレ(月斗)は姉貴(月乃)が部屋に戻るのをじっと待っていた。
眠い……、しかし眠さに負けていられない、オレには重要な役割があるのだから。
どうせ、姉貴が何かやらかしたのだろうことは、今までの経験から容易に想像つくから。姉貴のサポートはオレの役割だ、姉貴を傷付けずにオレは姉貴を守るのだ。
そっと主の視界を覗いてみると、そこには……、おおよそ地球上の生物とは思えないような『ナニか』が書かれていた。
姉貴……。自分の姉がやった事ながら、ため息が出てしまう。
「桜花、スマンがちょっと起きてくれ。」
「……ふぁーいのーん、何、月兄ぃ?」
「ちょっとコレの昨夜の記憶を見せてくれ。」
桜花は眠そうな目をこすりながら視界のコレを覗き込む。
「ぶっ!! のーん!! 何これ!!巨大な餌を飲みこんだカマキリ?」
眠そうだった桜花の目が一瞬で見開かれた。
「……だろ? だから姉貴が手を出す前の状態を教えてくれ。」
「のーん!これは目が覚めるのーん、大変なことになってるのーん。」
姉貴が手を出す前の状態を確認と……。
さて『CTRL+Z』(やり直し)の連打開始か……。
カタ カタ カタ ……。
オレは姉貴のサポートも仕事だけど、こんな事までしなくちゃいけないのか!
……めんどくさい。
……目覚まし時計の音が聞こえる。
それを目覚ましの音を認識した瞬間に、私は状況を悟ってしまった。
ヤバイ!やっぱり私眠っちゃったんだ!
うわーん!イラスト全然進んでないよー、これは今夜は徹夜かな。
―fin
――――――――――――――
この小人たち、イラストは描けなかったけれど、主(あるじ)が会社で落ちた時には仕事を代りにやってくれたんですよね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます