第24話 ルドルフタワー制圧

 7階から9階へとキングとジェネラルが増えていき、まるで魔物部屋モンスターハウスの様だった。


 強力なオーガ達に対して【ブラインド(盲目)】【ペトリフィケーション(石化)】【マインドブラスト(混乱)】等で弱体化してから、【アイスブリザード(氷嵐)】で動きを封じて、【ファイヤージャベリン(炎槍)】で止めを刺していった。

 凍らせた所へ炎の槍を打ち込むと、オーガの体が脆くも崩れ落ちるのだった。


 10階は本来は最上階で、謁見の間を模したフロアに、玉座のレプリカが置いてあったと言っていたが、そこにはオーガハイロードが座っていた。

 左右に分かれてキングとジェネラルが跪いて並んでいる。



「あれ!ソウタ。ここがラスボスって感じだよね?」


「うん、ユウト。取り敢えず、今まで通りに攻めて見ようよ」



 ハイロードが右手を上げて合図をすると、両サイドに居並んだキングとジェネラルが、吠え猛りながら立ち上がる。


「「「ゥガァアアアアアッ!」」」


 しかし、それ迄の階と同じように、敢え無くソウタ達の攻撃により倒されてしまった……。




「ふぅ、これで終わりだといいね」


「うん、ソウタ。上にあがってみようよ」


「そうだね」




 11階に上がると、そこにはただ1頭のオーガが佇んでいた。


 見た目が少しスマートで、肩から黒い革をノースリーブのワンピースの様に掛けている。

 長いまつ毛の上には青いアイシャドウが切れ長に引かれ、唇はグロスで赤黒く光っていた。


「オーガを【識別】……オ、オーガプリンセス!?」


「へぇ、少し可愛めだね」


「うん」



「「「【クイックフリーズ】(急速冷凍)!【ファイヤージャベリン】!」」」


 ズガガガガァアアアアアンッ!


 ソウタが「せ~の」と言う前に、女子3人が速攻でオーガプリンセスを倒してしまった。



「ねぇソウタ。何かチョット……女子は容赦ない感じだったね」


「うん、チョット怖かった……」


 と、2人で顔を寄せて呟いた。



「な~にっ? 魔物なんだから、男も女も関係ないでしょっ!」


 とクミが言った。


「「はいっ」」




 12階に上がると、又1頭のオーガが佇んでいる。


 やはり、見た目が少しスマートで肩から黒い革をワンピースの様に掛けている。

 更に、長いまつ毛の上には青いアイシャドウが切れ長に引かれ、唇はグロスで赤黒く光っている。


「オーガを【識別】……オ、オーガクイーン!?」


「「「【クイックフリーズ】(急速冷凍)!【ファイヤージャベリン】!」」」


 ズガガガガァアアアアアンッ!


 女子3人が、又あっと言う間に速攻で倒してしまった。



 13階に上がると、更に又1頭のオーガが佇んでいた。


 同じく、見た目が少しスマートで肩から黒い革をワンピースの様に掛けている。

 更に又、長いまつ毛の上には青いアイシャドウが切れ長に引かれ、唇はグロスで赤黒く光っている。


「オーガを【識別】……オ、オーガレディ!?」


「「「【クイックフリーズ】(急速冷凍)!【ファイヤージャベリン】!」」」


 ズガガガガァアアアアアンッ!


 女子3人が、又々あっと言う間に速攻で倒してしまった。



 続いて14階に上がると、予想に反して、玉座の間になっていた。


 14階の主はオーガハイレディで、オーガハイロード6頭が作った肉椅子に座っている。

 周りには飾り彫りしてある色とりどりのキャンドルが幾つも立ち並んでいた。


 オーガ達の服は茶色の毛皮だが、ここのハイレディは艶のある黒いレザーを着ていて、ピッタリしたボンテージの様に見える。真っ赤なマニキュアを爪に塗った手には鞭を握っていて、クリスタルのハイヒールを履いていた。



 ピシャリと鞭を床に打ち鳴らして立ち上がると、肉椅子に成っていたオーガハイロード達が立ち上がり、こちらを睨みつけてきた。



「お兄ちゃん達、遠慮せずに先制攻撃で倒してくれ。多分これで最後だから、ゴールは目の前のはずだ!」


 と、帝国人のケインが言う。



「よし、全力攻撃で行こう。せ~の」


「「「「「【マインドブラスト】!」」」」」


 キュィイイイイインッ!


「「「「「【アイスブリザード】!」」」」」


 ビュゥウウウウウッ!


「「「「「【トリプルファイヤージャベリン】!」」」」」


 ボボボボボワッ!

 ズガガガガァアアアアアンッ!


 ……オーガ達を全滅した。


 俺達は、ここまで誰一人として怪我をしていなかった。




 15階には魔物は居らず、宝箱が3個置かれていた。

 ダンジョン核が、フロア中央に描かれてる魔法陣の上に浮いている。


「お兄ちゃん、魔物が湧く前に早く破壊しようぜ」


『お待ちください。皆さんの魔力を注いでダンジョン核の主になれば、ダンジョン核を意のままにコントロールできます。

 沢山の魔力を必要としますが、皆さん5人で注げば出来る筈です。

 破壊せずに是非ダンジョン核の主に成って下さい。5人で同格の主に成ることもできます。

 魔物に壊されたホストコンピューターの魔核の代わりに、ダンジョン核をセットする事が出来れば、首都星エリューズの科学設備を復旧出来るのです』



「この星の壊れたシステムや設備を修復して、再稼働出来るの?」


『ホストコンピューターには自動修復機能が備わっています。人が手を下さなくても、破壊された魔核の代わりにダンジョン核を設置するだけで、魔力マナをエネルギー源として、システムと設備を修理してくれるように成っています。電源施設やロボットやアンドロイドも修復されるのです』



「生き残ってる帝国人達の為に、首都機能が回復出来るんだね」


『いいえ、5人皆さんの為に回復される事になります。ダンジョン核に魔力を注入した皆さんが、この首都星エリューズのあるじに成るのです』


「え、俺達は主に成らなくていいんじゃない? そこは生き残りの帝国人に任せようよ」


『いいえ、ホストコンピューターは魔力を注いで主に成った者の為にしか働きません。歴代皇帝は魔力を注いで主と成っていたのです。そのようにホストコンピューターはシステム構築されているのです。新たにホストコンピューターを作り、新たに設備を作らない限り、首都星のシステムを変える事はできないのです。

 そして、現在生き残ってる帝国人全員の魔力を集めても、ダンジョン核を魔力で満たして主に成る事は出来ないでしょう。

 皇族は魔力が豊富なハイエルフという妖精族の末裔で、一般の人族よりも桁違いの魔力を持っていたのです。その力があったからこそ、帝国を数世紀に渡って支配する事が出来たのです。

 皇族の生き残りが確認できない今は、皆さんが主に成って首都星を支配してくださいませ。そうでなければ、首都星は荒れたまま魔物の跋扈する惑星と成っていくでしょう。生き残ってる帝国人達は他の惑星に移住しなければ、近い将来に絶滅してしまうのです』

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