第14話 食後の会話

「それじゃあ食事も済んだ事だし、そろそろ首都を目指して進もうか?」


 食後のお茶を啜りながら、俺が皆に言った。



「ソウちゃん、宇宙船を収納したら、又サッちゃんと会話できなくなっちゃうのでしょう?」


「そうなの? サッちゃん」


『いいえ。皆さんが装着しているアイマスクと仮面とサングラスが、ヘッドセット兼カメラになっていますので、軽巡洋艦CL5501をインベントリに収納しても、私|(サリーナ)と無線ランで繋がることができます』



「このサングラスが、インベントリ内と無線で繋がっているの?」


『いいえ、それは出来ません。ですが、軽巡洋艦の無線用アンテナ部分だけをインベントリから出しておけばいいのです。勿論皆さん同士でも通話する事ができます』


「へぇ、そんな事が出来るんだね?」


『はい。ですがそれは、インベントリの使用者次第ですので、インベントリ収納時にソウタさんに調整をお願い致します』


「オッケ~」



『更に、フードディスペンサーだけをインベントリから取り出しても、アンテナにより食事や廃棄処理で使う事が出来ます』


「ふ~ん、それは便利だね」



 俺は、軽巡洋艦CL5501の無線ランアンテナだけを衣装の胸の辺りに残すイメージで、インベントリに収納した。


 シュィイイイイイイイイイインッ!


「お、上手くできたみたい」


 アンテナは、左胸上でブローチの様に3センチほど出ていた。



『同様に、武器の柄の部分だけを抜き易い位置に出しておけば、スグに戦闘態勢を取る事が出来ます』


「お、それはいいね」


「うん、出来た出来た!」



『因みに、私のホログラムを現実空間に投影する事も出来ます』


 ブゥウウウウウンッ!


 ツインテールに赤ぶちメガネでリクルートスーツ姿のサッちゃんが、俺達の前に現れた。


『この様に成ります』


「「「「「おぉ!」」」」」


 試しに手を伸ばして触ろうとしても、ホログラムなので実体が無い。



「ねぇ、お兄さん。さっきから誰とお話しているの? そこに誰か居るの?」


 軽巡洋艦を収納してから、ミフィーリアにはサリーナの声が聞こえていなかったらしい。



「宇宙船のAIサリーナと話してるんだよ」


「ふ~ん」



 6人は、又トコトコと歩き出した。






 ウプシロン帝国首都星エリューズは、都市とグリーンエリアが完全に分かれている。

 それはコンピューターで管理されていて、人は都市部で生活し、グリーンエリアは都市部への供給物を生産する場所となっている。


 そしてグリーンエリアで供給物を生産しているのは、ロボットとアンドロイドだ。

 人は都市部で生活して働いてるが、仕事の内容は労働以外の知的発想のみで「あ~いうのがあったらいいなぁ」とか「こういうことができたらいいなぁ」と好き勝手な妄想をして、コンピューターに実現できるか問う事だ。



 ロボットとアンドロイドの違いはなんだろう?

 工場で商品を組み立てたり運搬する、一定のプログラムされた動きをするのはロボットだと思う。

 ここ帝国ではロボット警官とアンドロイド警官が居ると言う。また同様に兵士も居ると言う。

 ロボット警官は内部プログラムや通信で送られてくる命令に従って行動するもので、それ以外の行動を自ら行う事はできない。

 アンドロイド警官は、基本プログラムや通信で送られてくる命令に従って行動する事をロボット警官と同様にできるが。自律思考型AIを持っていて、命令が無くても自己判断で行動できる。


 ロボットより、アンドロイドの方がより人間に近いようだ。


 見た目は何でもありがロボット、手や足や頭があるのをヒューマノイド、人と見間違える程の見た目や自律思考と行動が出来るのがアンドロイドのようだ。



 草原を歩いて移動していくと、停止したロボットやアンドロイドが転がっている。

 運搬用のトラックもあったが動かなかった。そもそもタイヤも付いていない。



「サッちゃん、トラックに乗って首都迄行けないの? 歩き疲れちゃうからさ」


『分かりました。故障してないトラックにエネルギーを充填して乗っていきましょう』


「「「わ~い」」」



「実はもう、歩きたくなかったんだからぁ」


 と、クミが言った。


「うんうん、足がちょっと痛いもんねぇ」


「はい、リン先輩。私もです」



『皆さんのステータスを見る限り、このぐらいで疲れたり、足が痛く成ったりしない筈です。地球時代の経験で、疲れたり痛く成ったりすると思い込んでるだけだと推測されます』


「えへへへへ、そうだったねぇ」



 女子達は、ただ歩くことに飽きてしまっていたらしい……。

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