15.
「あなたは。いじめられているわたしを。いつも守ってくれて」
「わたしは。あなたのことが。好きでした」
「でも」
「あるとき、机と扉に、右腕を挟んじゃって。それで」
彼女。くるしそうな息遣い。
「それで、私の腕が。おかしくなって。それを見たあなたが」
「だから。わたしのせい、なんです。あなたが、私をいじめていた子をぼこぼこにして。腕を挟んじゃったのは、わたしなのに」
「あなたを、こんなふうに、してしまって」
「腕が治るかもしれないって言われて。今は義手だけど、腕は保存してあって。一度切って、繋げ直すんですけど、がんばれば、ちゃんと治るって」
「それを、伝えたくて。あなたを探して、ここに来たけど、あなたは」
「あなたは、ここに、ずっとひとりで」
「わたしのせい、で。ごめんなさい」
「でも。わたしの腕は。なおるから。月に、行けば。だから。大丈夫。わたしのことは、気に、しないで、ください」
「ありがとう。好きでした。さようなら」
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