噛み合わないね

@nanashinanase

「ハナは彼氏作らないの？」

酔い始めたリョウが呆れた顔で聞く。

「作りたいとは…思うよ」

「一人の男友達として言うけどね、あまり男に理想を持ちすぎるなよ」

ハナは自分の理想が高いと思ったことはない。

寧ろ逆だとさえ思っているのだ。

「私ね、優しい人って嫌いなの。本性を隠してるんじゃないかって疑っちゃう」

「お、おう」

「それと一途な人もだめ。無理しているんじゃないかって思えてね」

「…じゃあ、意地悪で浮気性の人がいいってこと？」

「うーん、ちゃらい人は嫌だけど、そういうことになるよね。もうこんなはずじゃなかったのになあ」

手で顔を覆うハナに、リョウが提案する。

「浮気性じゃないけどね、どうみても一途じゃなくて、優しいって感情を忘れたような友達がいるよ。タクっていうんだけど、紹介しようか？」

「いやだ。どうせ続かないからいいよ」

「それじゃあ自分から出会いを遠ざけてるじゃん」

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