盗賊討伐

情報を得た翌日、俺たちは小隊が夜営している場所までやってきていた。




今日やる事は二つ。




まずホムンクルを増やし、部隊を強化する事。




もう一つが盗賊の拠点を制圧し、俺たちの拠点にする事だ。




彼女たちはすでに準備を整えており、天幕は収納され、フル装備で整列している。




予めくる時間は伝えておいたが、さすがと言ったところか。




「橘2尉以下15名、武器装具、健康状態共に異常ありません」




「休め」




彼女たちは一糸乱れぬ動きで休めの姿勢を取る。




今日行うことを伝える。




「まずは君たちと同じように、美由の力でホムンクルスを生成しようと思っている。いずれ後から上官も生まれると思うが、我慢してくれ」




「はっ!我々は命令に従うのみです」




自衛隊は上官の命令に服従義務がある。


彼女たちもそれをきちんと実行してくれるようだ。




「そうか、それはよかった。戦力を増強した後に盗賊の討伐を行う。今回は俺が指揮を取るつもりなのでそのつもりで」




俺はそれを言って今回も敬礼を受け台を降りる。




解散したのちに美由達の元へと向かった。




白兵戦において強いのはやはり普通科だ。今回も洞窟での戦闘になると思われるので、普通科を作るのがいいだろう。




そう思い2小隊目を作ることにした。




「美由昨日と同じ小隊を呼んでもらってもいい?」




「わかりました。ホムンクルス生成」




するとまた裸の少女達が姿を現す。


今回はすぐに服をやって着させた。




装備も渡し、準備を果たした俺たちは目標の盗賊の元へと向かうことにした。




途中までは車で移動したが、途中からは行軍することにした。




行軍は、あまり好きではないがやむをえまい、敵に気づかれるのは危険だからな。




とはいえ、新隊員の頃重たい荷物を持って25キロ歩いたのはいい思い出だ。




今回は重い荷物も、長い距離もないので楽だろう。




情報をもとに拠点のある位置へと到着する。




見張りは二人だけ立っていて眠そうにしている。




俺は事前にある程度伝えていた作戦に出ることにした。




今回は、なるべく拠点を汚さないため外に誘き出して戦うことにした。




第一小隊は盗賊の殲滅を担当し、今日作り出した第二小隊は音と血の匂いで寄ってくるであろう魔物の警戒を担当する。




俺は第一小隊と共に盗賊を殲滅し、二人には第二小隊と警戒してもらうことにした。特にリリアには美由を守ってもらうことになる。




「では作戦を開始する」




パンパン




乾いた音が2つ鳴り響く。




一つは俺から、もう一つは橘2尉官から放たれたもの。




二つは綺麗に眉間を貫通し、見張りを絶命させた。




「あっ」




静かに倒しすぎてしまった。これでは、敵がこない。誘き出す必要が出てしまった。




入り口前まで歩き、大声を出す。




「て、敵襲!」




急いでさっきの隠れた場所に戻る。




ドドドドド




するとしばらくして奥から大量の足音が聞こえて来る。




「敵はどごじゃ!」




「ドロ、ボー息をしろ!」




「くそ! 二人の仇!」




「隠れてないで出て来んか! われぇ!」




盗賊たちはそう口にしながら入り口から出てきた。




俺は少し待って盗賊が入り口を離れてから命令を出す。




「撃て!」




その合図とともに多くの銃弾が火を噴く。


第一ウェーブ15人の盗賊を瞬時に排除した。






「オメェら誰にやられた!」




「冒険者の野郎どもめ!」




「いんしつな野郎どもが!」




再び応援にやって来た盗賊が20名ほどやってくる。




「右方よーい」




「「「右方よし」」」




「左方よーい」




「「「左方よし」」」




「射撃よーい」




カチャ




「撃て!」




射撃訓練方式で声がけをしてみた。




実際射撃訓練みたいなものだしね。




「ぐぁ!」




「ぐへり」




第二ウェーブも一瞬にして壊滅してしまった。




しかし、その後入り口に次の敵は現れなかった。




これは全滅したか?いや35人だけとは考えづらいしな。




なら考えられるのは、中での防衛戦に切り替えているかだろう。




流石に35人もやられたら次から次にと進むわけがないが。




ならばと俺は第二フェイズ侵入の指示を出した。




ちりりりりん




無線をかける。




「はい。もしもし橘です」




「もし、こちら朝霧、これより拠点内に侵入する。魔物の警戒ラインを入り口付近まで上げてくれ」




「わかりました。気をつけてくださいね」




「おう」




そこで無線を終える。




俺たちは洞窟内へと進み出す。




「罠に注意して進め! 敵を見つけたら速やかに排除せよ」




無言の頷きを確認して前に進む。




洞窟は火はそのままにしてあり、急いで奥に行ったのが足跡や周りのものから分かった。




おそらく罠なども置いてあるだろうが、原始的なものになるのだろうな。




「総司令官足元をご注意ください。ここだけ足跡が避けています」




本当だ。ここだけ綺麗に避けて通っている。


ここに何かあるのは間違い無いだろう。




順調に罠を避けつつ奥へと進む。




ようやく光が強くなっている部屋を見つけた。




前にいる隊員が鏡で中を確認し、グッドとしている。


つまり中に敵が待ち構えているということだ。




俺はフラッシュバンを指差し、指示を出す。


前にいる隊員二人がフラッシュバンのピンを抜き、投げ込む。




フラッシュが破裂すると同時に突入の指示を出す。




それに続き俺も突入する。




そこには目を押さえる盗賊が20人ほど俺を一人一人撃ち抜いていく。




たたたたたたた




89式の乾いた音が洞窟中に響き渡り、目の前に立つものはもう居なかった。




「ミッションクリア。洞窟中を捜索、残党が残ってないか確認したのち、出口へ帰投する。」




「了解」




列を組みなおし洞窟の捜索を隅々まで行なったが、残党は確認出来なかったため、小隊を連れて出口へと戻った。

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