C級と盗賊情報

街についた俺たちは早速冒険者ギルドに向かった。




夕暮れ時で、クエストから帰ってくる冒険者で中は賑わっている。




俺はいつもの受付嬢の場所に並び順番を待つ。




「こんにちは、クエストの報告に来ました」




「あら、お疲れ様。はじめてのクエストはどうだった?」




「そうですね。そこまで大変では無かったですね」




そういうと、カードと討伐部位を取り出して提出する。




「確認するわね。……確認できたわ。これでクエスト完了よ。他にやることはある?」




俺はグリーンドラゴンについて切り出すことにした。




「それでしたら、レッドカウ以外にも討伐しちゃったんで、買い取って貰えます?」




「もちろんよ。受注クエスト外でも該当する魔物であればクエストもクリア出来るからね。それでその魔物は?」




「ここでは少し狭いんですけど」




「えっ、もしかして大型魔物を討伐したの?」




彼女は驚いた顔をする。


大型魔物は基本C級からしかいないからな。




「えーとそうです」




「もー、行くときに無茶しちゃダメって言ったでしょ! 君たちも男の子は止めないとダメよ」




俺に加えて、二人も注意された。




「「「すいません」」」




心配してるのがよくわかるので素直に謝る。




「もういいわ。早速倉庫の方に行きましょうか」




そういう彼女の後に続いて奥に入る。




地下に作られたその場所にはかなりのものが置かれているが、それでもまだかなりの広さがある。それに高さもあるから問題なさそうだ。




「それじゃあこの辺に出して頂戴」




指示された場所に7トン半を取り出す。




「え? なにこれ?」




「あっすいません。こっちはスキルで、魔物はこっちです」




荷台の後ろを開けて、グリーンドラゴンを見せる。




「これって私の見間違いじゃ無ければ、グリーンドラゴンよね? これどうやって……」




いきなりの事で混乱しているのだろうか。B級とはいえドラゴンはやりすぎたのかも知れない。




「えーと倒したのは、俺と美由のスキルでやりました」




嘘は言ってない。実際に俺のスキル自衛隊と、美由のスキルホムンクル生成で出来た小隊で倒したからな。




「そうなのね。これならC級まで上がりそうだわ。確かグリーンドラゴンの依頼あったものね」




おーよかったよかった。1体倒しただけでかなり短縮出来たんだじゃなかろうか。




「クエスト以外の部位も売却で良いかしら?」




「そうですね。お願いします」




「わかったわ。なら上に戻って手続きを続けましょう」




「はい。お願いします」






再び戻って受付カウンター。




このお姉さんは平常心を崩さず、完璧に仕事をしてくれる。


良くあるテンプレ受付嬢のように、俺たちがグリーンドラゴンを討伐したと大々的に発表しなくてホッとした。




「はい。これでC級冒険者よ。お金は査定後口座に振り込んでおくわね」




「お願いします」




「他に何かあるかしら」




最後にと聞いてくる。




「えーとなら盗賊について情報が欲しいです」




それを聞いて少し怖い顔をする彼女。




「C級になったら確かに盗賊の討伐クエストを受けれるけれども、基本はレイドよ、それにすぐ受けるのは危険だわ。どうしてそんなに危険な道に進もうとするのかしら?」




その声は真剣で、俺を止めようとしているのだろう。


新人冒険者が進んでやる仕事ではないしな。




「それに貴方には二人も可愛らしい子が居るのよ? 少しは考えなさい。それとも何か理由があるのかしら」




こんだけ心配されてて、拠点が欲しいだけとは言えないよな。




「実は、俺たちの故郷は盗賊に滅ぼされたんです。冒険者になったのも盗賊の被害を広げないため、盗賊を討伐するためになったんです。そのために訓練は積んできましたし、負けるつもりもありません」




俺はとっさにそれらしい嘘をついた。正直彼女に嘘を付くのは心苦しいが、戦力拡大にはどうしても必要な事だからな。


ここは我慢だ。




「そ、言ってもダメみたいね。わかったわ」






そう言って丸印のついた地図を出してくる。




「今確認されている盗賊のアジトはこことここ、それとここよ。」




3つの場所を指す。そこに盗賊が居るようだ。




「ここは明後日に、討伐が予定されているわ。それからこっちも騎士団が討伐予定とのことよ。」




そのうち二つは討伐予定があるらしい。




「では残りは?」




「ここはね少し後回しにされているわ。情報では森にある洞窟を根城にしているのだけど、その森が人があまり寄り付かない場所にあって魔物が多いから、なかなか討伐に行けてないのよ」




「そうなんですか。わかりましたありがとうございます」




「どういたしまして。あんまり無茶しないのよ? 二人のためにも」




「はい。肝に銘じます」




俺は報告を終えて、C級冒険者となり、盗賊の情報も手に入り、ついに俺たちは初の拠点となる場所を確保するため、行動に移し始めた。

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