やってきた魔物との初戦闘

朝、起床した俺たちは朝食をとり、天幕を収納してパジェロに乗り込んだ。




今日も車はなかなかに快適で、異世界の景色はどんどんと変わっていく。




森を抜け、川を横切り、丘を登りそしてくだる。




出発から5時間ほどすると森に到着し、この森を抜ければようやく目的地のダンバへとたどり着く事になる。




俺はアクセルを踏む足に力が入り余計にスピードが出る。




道は一応整備されているとはいえ土、正直これ以上飛ばしたら揺れて気持ち悪い。


それに森が深くなるにつれて、道も若干だが狭くなっていっている。




「それにしても暗いですね」




美由がそう呟く。




森は今までよりも木々が生茂り、太陽の光も遮られ、どこか薄暗い。




「だね。こういうところには居そうだよね」




俺は冗談まじりにいう。




「な、何がいるんですか!」




「幽霊とか?」




「じ、冗談ですよね?ね?」




美由は俺の腕を掴み揺らしながら必死な声で訴えてくる。




おかげでハンドルを取られかけた。




「冗談ですか手話してくれないと運転が、」




ようやく解放されて再び運転に集中するが、そこで後ろから声がかかる。




「確かこの辺りはアンデットの魔物も出ると聞いたことがありますよ」




「「え」」




二人の声はシンクロし俺は車を止めていた。




「冗談だよね?」




「いえ、残念ながら本当のことですよ」




「て、天羅さんが冗談なんて言うから本当になったじゃないですか!」




「んな無茶苦茶な」




俺はそう言いながら、美由に揺らされなすがままに身を任せた。




ここで止まっていても仕方が無いので、もし魔物が出たときいつでも攻撃できるように準備はしておく。弾を確認し、予備弾倉も用意、それから二人にP220を渡す。




「天羅さんこれは……」




「P220、自衛隊が使用している9mm拳銃だよ。もし、魔物が出て来る事になったら実戦で練習できる事に越したことはないからね。いずれ渡すつもりだったんだ。」




「でも、少し怖いです」




その気持ちはわかる。俺も訓練時でも小銃を持つときは暴発しないかとかよく考えたものだ。まぁそのために念入りに整備してたし、好奇心の方が上に行ってたから、支障なかったんだけどね。




けど美由は銃とかには、あんまり興味とか無いだろうし、怖いと思うことはしょうがないと思う。




「安全装置は俺の指示か、危険が迫るまでは絶対に外しては行けないからね。リリアもだよ」




「「わかりました」」




二人の返事を聞いて再び走り出す。


すると前方に何やら動く物体を見つけた。


それはこちらに向かっており、接触は避けられないと思い俺はパジェロを止める。




車は小回りが効かないからな。




「二人ともお客さんがお出ましのようだ。とりあえず俺が実戦してみるから、車で見ていてくれ」




「大丈夫ですか?」




「大丈夫だよ。俺とこいつを信じてまってて」




「はい」




美由は心配そうにそう返事をする。




「ご主人様おそらくあれはレッサーウルフですね。D級魔物ですが、群れで行動するため、討伐は群れでC級になっています」




「なるほど。リリア美由のこと頼むよ。万が一俺が取りこぼしたら頼んだ」




「かしこまりました。ナイフなどはございますか?」




リリアはナイフを要求する。確かに戦うものが無ければ話にならないか。




俺は銃剣の剣部分を取り出してリリアに渡す。




「こんなんでいいか?」




「はい。問題ありません。それでは怪我だけはなされませんように」




「うん」




俺も小銃に銃剣を装着して、切り替えレバーをタにセットする。魔物までは距離にして100メートル、相手は高速で動く的、狙いを定めながら引き金を引く。




ぱん




1発目は右にそれて外れる。続け様に2発打ち込む。




その内1発が1匹のレッサーウルフの脳天を撃ち抜く。




ヘッドショット!などと思いながら続ける。


残り5匹、距離は50メートルを切った。




俺は連射にするため、素早く切り替えレバーをタからレに切り替える。




タタタタタタタタ




25発の弾が5匹中4匹を撃ち抜くが1匹逃してしまう。




30発の弾倉は撃ち終わり、その場に落とす。素早く、落としてる間に弾納から20発弾倉を取り出して、弾込めする。




すでに目の前までレッサーウルフは迫っている。


ようやく弾込めが終わり、俺は引き金を引く。




ばらまいた弾はレッサーウルフを撃ち抜く。残り4mほどの位置でようやく倒すことができた。




正直俺の腕ではこんなものかも知れない。所詮はMAX40点のヘタクソだからな。




俺は銃剣を外して、死んでいるかどうか確認するために刺す。




全部死んでいるのを確認して二人の元に戻る。




「お疲れ様です」




リリアに労われ、緊張をようやく解く。


やっぱり緊張していたようだ。




こうし、俺の異世界らしい魔物との初戦闘は幕を閉じた。

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