第十二時限目
それから敦子先輩と駅で別れ、家に帰りご飯を食べていると拓からメールが来た。
《桂太に聞いてみたらOKだって。ちなみにお前が知りたいって事にしといたから》
(また余計な事を…)
《だからあたしじゃないっての!今すぐ訂正メール桂太君に送って!》
《冗談だよ(笑)お前の友達って言っといた。これが桂太のアドレスな》
文字の下に桂太君のアドレスが記載されてある。
《ありがとね!》
拓とのメールを打ち切り、あたしは早速菜緒にメールをした。
《桂太君のアドレスゲットしたよ!》
メールを送信すると1分も経たない内に菜緒から返事が届く。
《ありがと~!カラオケおごるから!今から桂太君にメールしてみるね!》
《頑張れっ!また明日ね》
それからご飯を食べ終え、食器を下げた後あたしは自分の部屋へと戻った。
テレビを付け、制服のまま小さな丸いソファーに腰を下ろす。
「はぁ…今日はバカ拓のせいで疲れた…そういえば…あっちゃん何かあたしに話があったみたいだけど、結局彼氏とバッタリ会っちゃって聞けなかったし…明日聞こうかな」
真っ暗な部屋では怖くて寝れないあたしは、着替えた後電気を豆電球にし、ラジオが流れるイヤホンを耳にはめ、お風呂にも入らずに寝てしまった。
そして次の日の昼休み。
昼食を早々と済ませたあたしと菜緒は、菜緒に誘われ体育館へと向かった。
「結芽ごめんね?付き合わせちゃって…」
「いーよ(笑)どうせ暇だし…しかし本当に菜緒は桂太君好きなんだね!?」
「バスケ姿カッコイイんだからっ!結芽も見たら絶対そう思うよ!」
「そうなったら菜緒困るじゃん(笑)」
「そっか(笑)」
体育館の中に入ると拓や桂太君、その他大勢の男子が汗だくでバスケをしていた。
「桂太君かっこよくない!?」
「だね、一際目立ってるかも…」
桂太君はバスケが上手い。
でも、そんな桂太君に劣らない程に拓ともう1人、上級者並で上手い男の子がいた。
(あ…)
拓があたしに気付き、バスケを中断して駆け寄る。
「よっ!AV女優!」
「いい加減しつこい」
「あれれ?もしかして俺を見に来た訳?」
「ワハハハ。冗談キツイってば」
あたしと拓をよそに菜緒は桂太君に釘付け。
そんな菜緒のラブラブ光線を見て、流石に拓も気付いた。
「もしかして桂太のアドレス聞いたのって菜緒?」
実は拓と菜緒は同じ中学出身。
「あ、バレた?」
菜緒は罰が悪そうに舌を出す。
「何だよ…隠さなくてもいいじゃん」
「だって、拓って昔から物事大袈裟にすんの得意じゃん?あ~明日には皆に広まってそ…」
「あは、拓信用ゼロじゃん」
「うるさいよお前」
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