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けれども、子どもの方は、ねこをみつけて、うれしそうに、「家にお入り」と、手招きしています。


(この子なら……少し大きいし、やっていいことと、悪いことの区別は、つくかもしれない……)


ねこはちょっと信じてみようかな、そう思って、女の子に近づきました。


すると……



ああ。

どうやら、涙の匂いは、この女の子からするのでした。


(よく見たら、泣いたあとなのかなぁ?目が赤いや)


「わたしね、おかあさんが死んじゃって、会えないの。だから、こうして、おかあさんのお写真を切りとって、わたしのとなりに貼ってるの。そうすれば、どんなときも、一緒だから……」


女の子は寂しくて、寂しくて。

まだこんなに、ちいさな子どもなのに。


会いたかろう

お母さんに会いたかろう

でも、もう二度と会えないんだね

切なかろう

切なかろう

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