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悲しみを食べるねこが、ピィンとヒゲを張りました。どこかで、この町のどこかで、悲しい涙の匂いが、するのです。


(どこだ、どこだ)

ねこは鼻をクンクンさせながら、町を歩きまわります。


「あっ、ニャンニャンだぁ!」

ちいさな女の子がさけびました。


ねこは子どもが苦手でした。

その昔、大事なヒゲを思いっきり引っ張られたことがありましたっけ。

舌がやけどしちゃうくらい、熱々のミルクを飲ませられたこともありましたっけ。

子どもは悪気がなく、やっていいことと、悪いことの区別がつかないのは、ねこも知っていました。


だから、なるべく、近づきたくはないのです。

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