11 突然の映画.

 パトカー。派手に倉庫の外壁にぶつかった。ひしゃげる音。


「男の人が」


 しんじゃった。運命の人だと思ったのに。


「あっ生きてます」


「えっ」


 自分の後ろ。


 荷台の上。


「なんでっ。なんでなんでっ。轢かれたのにっ」


「車のフロントの部分を、こう、うまく蹴りました。映画とかで見たことないですか?」


「あっ映画とかあんまり見ないです」


「そうですか。じゃあ今度見に行きましょう」


「ぜひっ」


 じゃなくて。


「パトカーとか他の警察官とか。また来たらどうしよう」

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