05 牛ちゃんと豚ちゃんと新素材.

「どうしたんですか、いきなり」


「小麦粉を注文した人がいるんです。飼っている豚ちゃんとか牛ちゃんのごはんにするって」


「え、もしかして」


「渡しました。二袋。海外産の、なかなか良い小麦粉」


「てことは」


「凄腕の運び手。わたしかな?」


「たしかに、この荷台の速度なら、俺でも見失うのは当然か」


「やばいっ。はやく小麦粉じゃないって教えてあげないと、愛する豚ちゃんや牛ちゃんの生命があぶないっ」


「あ、大丈夫です。その新素材、食べても大丈夫な代物なので。食用の変化もないはず」


「あっそっか。それは安心。でも、新素材、食べちゃったら」


「あっそっか。僕が管区を訴えるための材料が牛ちゃんと豚ちゃんのおなかのなかに。ごめんなさい飛ばしていただけますか」


「いま全速力で向かってます」

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