03 国家機密の新素材.

「フラックジャケット、って。わかりますか?」


「ふら、え、フライングジャケット?」


「フラックジャケットです。兵隊さんが、爆発とかから身体を守るために着る服なんですけど」


「え、せんそう?」


「はい。戦時用です」


「せんそう起こるの?」


「起こりません。いや、まあ、僕を中心に戦争が起こってるといえば起こってるか」


「あぶないひとだっ」


「まあ、とにかく、そのフラックジャケットに使う新素材の調達中に、一部が不正に横流しされまして」


「あっ。荷の横流し。違法です」


「そう。違法です。本来はフラックジャケットのテストと、あと官邸肝煎りの建築デザイナーに送る予定だったんですが」


「横流しされたんですか」


「はい。二袋ほど。なにせ国家機密の新素材なので、奪われるとかなりその、まずいわけです」


「横流し先は、その、かんく、さん?」


「鋭いですね。その通りです。管区にどうやら防衛省庁に楯突こうとしてるひとたちがいるらしくて、それも一緒になんとかしてこいって偉い人に言われたんですけど」


「反撃されて逃げたんだ」


「正解です。倉庫に隠してもらわなければ、あぶなかった」

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